また、世界秩序をめぐる米中対立の緊迫化と社会経済の分断、地球温暖化による自然災害の激甚化、新自由主義やグローバル化に伴う経済格差の深刻化に対して社会的価値観の変容が進み、ESGやSDGs、ステークホルダー資本主義など、企業活動に対して幅広い社会的責任が求められるようになってきた。
このような事業環境の下で酒井重工業グループでは、Withコロナ時代における事業活動のDX(デジタルトランスフォーメーション)と本業の社会資本整備を通じたSDGs課題への取組みを整理すると共に、引き続き「変化を大前提とした事業経営」と「海外事業と次世代事業による中長期成長戦略」の基盤づくりを進めてきた。
■連結地域区分別売上高状況
国内向け売上高は、堅調な公共工事執行を背景として販売が回復基調に推移致した結果、消費税特需のあった前年同期比16.7%減ながらも、61億2千万円(前々年同期比18.9%増)となった。
海外向け売上高は、世界的な行動制約により経済活動が停滞し、前年同期比14.8%減の40億3千万円となった。
北米向け売上高は、経済活動が再開し住宅建設投資が回復しているものの、需要減速が続いた結果、前年同期比35.4%減の14億2千万円となった。
アジア向け売上高は、主力のインドネシアで感染拡大が止まらず需要低迷が続いたものの、タイ、ベトナム、韓国などで需要回復が進み、前年同期比7.2%増の23億8千万円となった。
中近東・ロシアCIS向け売上高は、需要停滞の中で営業活動が進まず、前年同期比91.2%減の3百万円となった。
その他市場向け売上高は、中南米の一部で需要回復の兆しが見られたものの、オセアニア、アフリカ向け販売が振るわず、前年同期比15.7%減の2億1千万円となった。
■セグメント業績
<日本>
国内向け販売が底堅い回復基調に推移したものの、海外向け販売及び海外工場向け部品輸出が減少し、総売上高は前年同期比14.5%減の86億8千万円、営業利益は同44.2%減の2億7千万円となった。
<海外>
米国では、経済活動が再開したものの需要減速が続き、総売上高は前年同期比35.3%減の14億3千万円、営業利益は6千万円の損失となった。
インドネシアでは、第三国向け輸出が回復基調に推移したものの、国内販売が感染拡大に伴う行動制限の中で低迷し、総売上高は前年同期比20.0%減の13億7千万円、営業利益は同97.3%減の2百万円となった。
中国では、米中事業のデカップリング方針の下、国内販売を伸ばしたものの、北米向け輸出抑制分をカバーすることが出来ず、総売上高は前年同期比30.8%減の3億9千万円、営業利益は3千万円の損失となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2021年3月期連結業績予想は、売上高21,000百万円(前期比7.7%減)、営業利益550百万円(同42.7%減)、経常利益350百万円(同57.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益△300百万円(同-)。
今後国内ではWithコロナ時代の経済活動が再開し、今年度公共投資予算と国土強靭化対策を背景とした堅調な事業環境が続くものと期待される。海外では中国やASEANの国々で経済活動の再開やインフラ投資による経済対策、更には部分的な渡航制限緩和が始まったことから、アジアについては徐々に経済回復に向かうものと期待される。一方で欧米諸国や新興諸国では10月から感染再拡大に転じるなどコロナ問題の長期化が懸念される。また米中対立激化や米国大統領選挙後の政治経済動向などの不確実性が増しており、世界経済の先行きは引き続き予断を許さない。
次世代技術については、社会資本整備のデジタル化とスマート化、更には世界的脱炭素社会化に伴うエネルギー効率向上や電動化要請など、建設産業のDXや環境対策が益々加速する見通し。
このような世界情勢の大転換期の中で酒井重工業グループでは、新常態に向けた事業活動のDX体制整備とSDGs等社会課題解決への取組み、需要変化対応力強化、米中分断に伴う米国事業と中国事業の収益構造改革、アジア市場深耕と北米市場展開、新技術活用による次世代事業開発のスピードアップ、活力ある企業文化づくりなど、変化対応と成長戦略を積極的に推し進め、新たな事業環境における成長基盤を固めていく。
第2四半期決算説明資料(11月16日追加)