■経営成績等の概況
2020年8月期における技研製作所グループを取り巻く事業環境は、国内の公共事業予算が前年度に続き高水準で確保されている一方、建設技能労働者不足とそれを背景とした入札の不調・不落、新型コロナウイルス感染拡大に伴う工事の一時中止や工期延長、発注の延期、さらなる感染再拡大への懸念など、先行き不透明な状況が続いた。このような状況を背景に、顧客の設備投資に対する姿勢は慎重な状況が継続している。
技研製作所グループは、建設をグランドデザインするグローバルエンジニアリング企業への転換を最重要課題として取り組んでいるが、当連結会計年度は世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴う強制的な在宅勤務などの行動制限、移動自粛要請、入国制限などの影響を受け、その活動は限定的かつ停滞せざるを得ない状況が続いた。一方で、この危機的な状況を柔軟に乗り越えるべく新たな働き方としてテレワークやスライドワークを迅速に導入し、合わせて工法提案活動や販売活動についても、できることからオンライン化したことで、生産性の向上とコスト削減を両立させ、新しい時代に向けた企業体質の強化を加速化させた。
国内における工法普及活動では、自然災害からの復旧・復興事業や将来に備えた事前防災・減災対策、社会インフラの老朽化対策など国土強靱化施策を中心に、インプラント工法の適用範囲の拡大に取り組み、工法採用は順調に増加している。また、近年の自然災害により被害が頻発している河川堤防についても、「堤防は盛土により築造するもの」とした「土堤原則」を撤廃すべく、国民に強く訴えかけ、関係省庁にも粘り強く交渉を続けており、インプラント工法による抜本的な対策の実現に向けた取り組みを進めている。
海外展開では、これまでのインプラント工法の認知度拡大や提案活動の手応えから今後の大きな成長を期待しているが、短期的な成果にはまだ結びついていない。しかし、各海外事業所に国内からエンジニアを派遣するなど技研製作所工法の提案・採用活動の体制を強化しており、また、そのバックアップを日本から行うエンジニアリング支援体制を整備した。オーストラリアの子会社J Steel Group Pty Limited(Jスチール社)では、鋼材販売を主とする事業からの転換を進め、早速、設計から施工までトータルで受注する実績を上げた。また、アメリカ、オランダ、カナダ、ブラジル、およびアジア諸国でも技研製作所工法の認知度は高まりつつあり、問合せ件数も増加している。
地下開発事業では、機械式地下駐輪場「エコサイクル」を、東京都渋谷区の商業ビル「渋谷フクラス(SHIBUYA FUKURAS)」に隣接して1基、JR川崎駅東口に2基を設置した。これでエコサイクルの設置は全国で23カ所(57基)となった。
■セグメント業績
<建設機械事業>
その結果、売上高は15,592百万円(前期比34.0%減)、セグメント利益は3,440百万円(同56.2%減)となった。
<圧入工事事業>
インプラント工法は、緊急性や重要性の高い、防災・減災工事や災害復旧工事の計画で採用されており、受注は堅調に推移した。国内では、東日本大震災復興や南海トラフ巨大地震対策などでの海岸堤防工事、九州新幹線の地すべり抑止工事、橋脚などの耐震化工事、河川・護岸の改修工事、昨年の台風被害に対する災害復旧工事や高速道路の改良工事などを実施した。なお、セネガル共和国ダカール港2期工事での岸壁改修工事は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により工事再開の目途が立たない状況が継続している。
その結果、売上高は9,048百万円(前期比2.8%増)、セグメント利益は1,249百万円(同65.4%増)となった。
■2021年8月期の見通し
2021年8月期の業績については、連結で売上高27,100百万円(前期比10.0%増)、営業利益3,150百万円(同26.1%増)、経常利益3,200百万円(同14.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,100百万円(同49.9%増)を見込んでいる。
決算説明資料(2020年10月23日追加)