オフィスビルなどの多くの人が活動する室内では、人の呼吸から排出される二酸化炭素を屋外に放出することを主な目的に換気しているが、換気時にアレルギーなどに影響する屋外のPM2.5や花粉、黄砂などの浮遊微粒子を室内に引き込む。
川崎重工が開発した「SEPERNA(TM)」は、ガス分子径の数十倍程度の微小孔を有するガス透過膜を用いており、従来の換気システムで不可欠なフィルターを使用せず、また屋外の浮遊微粒子を室内に引き込まず、室内の二酸化炭素を屋外へ放出することに成功した。併せて二酸化炭素などのガス成分を屋外に放出する際に、適切な温湿度の空気を活用することで、換気した空気を調温、調湿するために必要となる電力消費を削減できる。さらに、エアロゾル化した飛沫の除去効果についても期待されており、その有効性も検討していく。
なお、ガス透過膜を用いた今回の新換気システムは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の支援事業として、2015年12月から2019年3月まで、国立大学法人 神戸大学と共同で研究してきた成果に基づき開発したもの。
「SEPERNA(TM)」:装置の先進的なガス透過膜による空気清浄をイメージし、SEparation(分離)、PERmeation(透過)、NAtural(自然)の頭文字を取ったもの。