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日立造船、中国で合流式下水道越流水用の大型繊維ろ過処理システムを受注、海外では初

 日立造船は9月28日、中国電器科学研究院有限公司より中国長沙市下水処理場向けの合流式下水道越流水(CSO: Combined Sewer Overflow)繊維ろ過処理システムを受注したと発表した。海外でのCSO繊維ろ過処理システムの受注は今回が初めて。同システムの処理能力は50万m3/日で、中国及び日本国内において最大規模(日立造船調べ)。

 合流式下水道は、汚水と雨水が同一管で処理されるため、降雨の際は雨水が混ざった汚水の一部が未処理のまま河川などへ放流される。このため未処理下水に含まれる汚濁物質が流出し、公共用水域の水質悪化の原因となっている。また、多くの合流式下水道は大都市の市街化が進んだ地域にあるが、用地上の制約もあり、処理施設の改修や建設が困難な場合が多くある。

 中国においても近年気候変動によるゲリラ豪雨が多発している中で、公共用水域の水質改善が求められており、中国政府は下水処理水の水質基準値の厳格化、地方都市の施設整備などに意欲的に取り組んでいる。日立造船は、中国の大学や研究機関と共同で、下水処理施設でCSO繊維ろ過処理システムの共同研究や実証実験などを行っており、今回日立造船システムの高い水処理性能が認められ、受注に至った。

 日立造船のCSO繊維ろ過処理システムは同じ機能を有する雨水滞水池に比べ、3分の1の面積で、2分の1以下の建設費で施工することができる。また、終末処理場やポンプ場などに設置できるほか、既設の雨水滞水池や最初沈殿池を改造して利用することも可能。

■水関連事業と中国での取り組みについて

 日立造船グループはサステナブルで、安全・安心な社会実現に向けて、「クリーンなエネルギー・水の提供」をコア事業領域としている。水関連事業では、海水から淡水を造る海水淡水化プラントや、生活用水を供給する上水道施設、都市から排出される下水・工場排水を浄化・再生する下水処理施設等関連事業の企画、設計、建設からメンテナンス、運営を行っている。

 中国では下水の高度処理化に対応する下水処理システム「まりも®」において、中国広東省科技庁の補助金事業を利用して中国の研究機関と共同研究を行い、広州市の日量10万m3の処理システムをはじめ、数万立米の処理システムを複数受注し、竣工した。

 日立造船グループは、今後も中国市場において、研究機関・大学での実証試験、現地のパートナー企業との協業なども図りながら、同国での安全で安定した下水処理に寄与していく。

<受注概要>

発注者:中国電器科学研究院有限公司

事業名:長沙市経済技術開発区星沙下水処理場拡張(四期)グレードアップ工事

納入先:長沙市経済技術開発区星沙下水処理場

        所在地 湖南省長沙市長沙県湘龍街道58号

処理量:50万m3/日

納期:2021年10月予定

 ニュースリリース

 

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