・石炭火力発電所における省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムのパイロットスケール実証試験を開始
この案件は、川崎重工とRITEが、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「先進的二酸化炭素固体吸収材の石炭燃焼排ガス適用性研究」の採択をうけて、関西電力の協力を得ながら実施するもので、2024年度にかけて試験を行う予定。
工場などから排出されるCO2は地球温暖化の要因と言われており、その一つの解決策として二酸化炭素回収・有効利用・貯留(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(※1)、以下、CCUS)が挙げられる。CCUSの導入を促進し、低炭素社会を実現するためには、排ガス中のCO2をより省エネルギーで分離・回収する技術の確立・適用が求められている。なかでも固体吸収法は従来の技術と比べて、CO2分離に要するエネルギーを大幅に低減できる可能性がある(※2)ため、次世代の分離・回収技術として期待されている。
川崎重工およびRITEは、2015年度から経済産業省の委託事業「二酸化炭素回収技術実用化研究事業」(2018年度よりNEDOに移管)において、固体吸収材と、KCC(Kawasaki CO2 Capture)移動層システム(※3)の開発・改良により省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムの性能向上と大型化の目途をつけた。パイロットスケール試験設備は、川崎重工が設計・建設を行い、RITEが開発した固体吸収材を用いて連続運転試験を実施する予定。さらに、将来の社会実装を見据えて、石炭火力発電所に設置した場合の信頼性/運用性評価や経済性評価を関西電力協力のもと実施していく計画。
川崎重工およびRITEは、省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムの石炭火力発電所における実証試験を重要なステップとしながら、低炭素社会の実現に貢献していく。
※1:統合イノベーション戦略推進会議で決定された「革新的環境イノベーション戦略」に打ち出されている施策。
出典:「革新的環境イノベーション戦略」(経済産業省)
( https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tougou-innovation/pdf/kankyousenryaku2020.pdf )
※2:定量的には、それぞれのCO2分離回収エネルギーは、(1)吸収液方式・・・2.5~4.0(GJ/t-CO2)、(2)個体吸収方式・・・1.5(GJ/t-CO2)となり、40%以上の削減となる。
※3:固体吸収材を適切に移動させることで、連続的に、かつ効率よく CO2を分離・回収できる大型化に適したシステム。
画像:舞鶴発電所内 パイロットスケール試験設備の設置イメージ
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