・イラクの復興・経済発展に貢献
日揮ホールディングスは8月12日、海外EPC事業会社である日揮グローバルが、イラク石油省傘下の国営石油精製会社向けバスラ製油所近代化プロジェクトの発注内示書を受領したと発表した。完成予定は2025年で、受注金額は約4,000億円。
イラクは、1,450億バレルの原油確認埋蔵量を有し、日量441万バレルの原油生産量を誇る世界有数の産油国。しかし、1970年代に建設された現在操業中の2つの製油所は、戦災や老朽化により生産能力が低下しており、国内の石油製品需要を賄えず、ガソリン等の石油製品を輸入せざるを得ない状況となっている。
今回のバスラ製油所の近代化は、既存のバスラ製油所の隣接地に、流動接触分解装置、減圧蒸留装置、軽油脱硫装置などを新設するもの。これにより、1.9万バレル/日のガソリン、3.6万バレル/日の軽油が増産され、石油製品の需給ギャップを減少させることが可能になる。また、生産される石油製品は、国際環境基準を満たし、環境負荷の低減にも貢献することが期待される。
同プロジェクトは、同国の石油精製部門の近代化・高度化に向けた橋頭保となる案件と位置付けられる。案件の資金は、国際協力機構(JICA)の円借款融資により調達され、2003年のイラク戦争後の日本による復興支援としては最大規模となる。
同プロジェクトの遂行に際し、日揮グループは延べ1,000人以上のイラク人に対する技能研修の実施と、約7,000人のイラク人技能労働者の雇用を予定している。さらに、プロジェクト完工後には操業要員として2,000人以上の雇用創出効果が見込まれており、イラクにおける失業問題の解決にも貢献する。
日揮グループは、イラクにおいて、2013年に発電所再建プロジェクトを完工しており、同案件は2件目のプロジェクトになる。日揮グループは、同プロジェクトを成功裏に完工することで、イラクの復興と経済発展に寄与する。
<受注概要>
契約先:南部精製公社(South Refineries Company) (イラク石油省傘下の石油精製会社)
建設場所:イラク共和国バスラ州(首都バクダットから南東約550キロメートル)
主要装置(処理能力): 流動接触分解装置(34,500バレル/日)、減圧蒸留装置(55,000バレル/日)、軽油脱硫装置(40,000バレル/日)など
契約役務:設計・調達・建設及び試運転
契約形態:ランプサム契約
受注金額:約4,000億円
完成予定:2025年