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日精樹脂、2019年度売上は11.9%減の388億円、20年度予想は未定

 日精樹脂工業が5月27日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、売上高は、期中後半にかけて世界規模で経済活動が鈍化したことを受けて、前期比11.9%減の388億1百万円となった。利益面は、海外子会社株式の取得費用の計上および中国等のアジア地域での競争が激化したこと等から営業利益は11億円(前期比68.6%減)、経常利益は11億3千万円(同68.5%減)といずれも減少した。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、6億4千4百万円(同75.1%減)となった。(数値表記は原文)

■経営成績の概況

 2019年度における世界経済は、米中貿易摩擦の影響および新型コロナウイルス感染症の拡大により、大幅に減速し、景気は低迷した。わが国経済も期初は良好な雇用環境等を背景に堅調に推移したが、今年1月より感染が拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、経済環境は急激に悪化した。射出成形機業界では、アジア地域における生産体制の再編成が図られる中、新型コロナウイルス感染症の拡大による世界経済の大幅な悪化から、厳しい受注環境となった。

 このような状況の中、日精樹脂工業グループは、長期的観点からの成長戦略や業績目標を見据え、2026年3月期を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の策定と同時に第64期(2019年度)を初年度とする第三次中期経営計画を策定し事業展開を推し進めてきた。廃プラスチックによる海洋汚染等の環境問題に対応した技術の開発、欧州市場への積極的な事業展開を見据えた企業買収などを軸に、事業の成長を図ってきた。

 日精樹脂工業2019年度データ

■セグメント別の状況

<日本>

 自動車関連等の需要が鈍化したこと等から、売上高(外部顧客への売上高)は217億9百万円(前期比4.4%減)、セグメント利益は8億1千2百万円(同61.0%減)となった。

<欧米地域>

 自動車関連等を中心に需要が鈍化したこと等から、売上高(外部顧客への売上高)は70億9千1百万円(同25.5%減)、セグメント利益は1億8千4百万円(同57.0%減)となった。

<アジア地域>

 IT関連を中心に需要が鈍化したこと等から、売上高(外部顧客への売上高)は100億円(同15.5%減)、セグメント利益は4億2千2百万円(同40.2%減)となった。

■製品別売上高

 主力である射出成形機については、売上高は280億9千5百万円(前期比16.6%減)となった。このほか、金型等の売上高は、28億7千9百万円(同29.0%増)と増加したが、営業部品の売上高は、53億4千8百万円(同1.0%減)、周辺機器の売上高は24億7千8百万円(同10.2%減)となった。

■次期見通し

 次期の見通しについては、新型コロナウイルスの世界各地への感染拡大が続き、世界経済への影響が大きく先行きは不透明である。日精樹脂工業グループは、従業員および顧客、取引先の健康と安全を第一に、新型コロナウイルス感染症への注意を払いながら、事業活動を展開していく。しかし、現時点において事業活動に関する予想数値を合理的に算定することが困難であることから、業績予想は未定とした。業績予想については、今後開示が可能になった時点で速やかに公表する。

 今後においては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響から企業投資マインドの低下および米中貿易摩擦の長期化等、取り巻く経営環境は厳しい状況が継続することが予想される。このような状況下において、日精樹脂工業グループとしては、各国で新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、顧客の工場立入りが制限される中、IoT(インターネット)を介したリモートメンテナンスや、突発事故防止の対応を図る。また医療業界向け専用機の即納体制と各種特殊機の販売を強化する等の施策を実施し財務力の強化を図っていく。

*報告セグメント名称を変更:販売・製造法人の所在地と主要な販売地域を基に「日本」、「アメリカ地域」及び「アジア地域」の3つを報告区分としていたが、2020 年1 月、株式取得により子会社化したイタリアNEGRI BOSSI S.P.A.について、その製品主要販売地域や主要販売先業種等を踏まえ、報告セグメントの名称を「アメリカ地域」から「欧米地域」に変更した。

 日精樹脂工業の2020年3月期決算短信

 

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