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東京計器、2019年度売上は2.6%増の474億円、今期は減収増益見込む

 東京計器が5月19日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績は、防衛・通信機器事業が大きく増収であったことから、売上高は前期に比べ、749百万円(1.6%)増収の47,440百万円となった。また、営業利益は製品ミックスの変化により原価率が1.7ポイント悪化したことから565百万円(23.2%)減益の1,875百万円、経常利益は649百万円(24.4%)減益の2,011百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は511百万円(26.4%)減益の1,425百万円となった。(数値表記は原文尊重)

■経営成績の概況

 2019年度における我が国経済については、生産、輸出いずれも弱含んで推移する中、第4四半期後半には新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大の影響が表れ始めた。

 このような経営環境の下、東京計器グループは、2019年5月に発表した中期経営方針及び中期事業計画の成長戦略である「事業領域の拡大」、「グローバル化の推進」、「既存事業の継続的強化」に取り組んできた。

 「事業領域の拡大」については、油空圧機器事業において耐圧防爆電磁切換弁をリリースし、これまで高いシェアを維持してきた一般産業機械市場に加え新たに防爆市場への参入を果たした。また、防衛・通信機器事業において、新規事業として推進してきた農業機械の自動操舵補助装置が新たな母機メーカーに採用され、農業機械関連の売上は前期比で約3倍に成長した。「グローバル化の推進」については、油空圧機器事業でアジア地区及びインドでの新たな販売パートナーの確保等による販売力強化を推進した。「既存事業の継続的強化」については、生産・販売・技術・サービスが一丸となって効率化を追求してきた結果、防衛・通信機器事業において、2018年3月期より継続したレーダー警戒装置を始めとする大型量産契約案件等を大きな損失の発生をすることなく予定通り納入し、当期においては当該セグメントとしては過去5年間で最高となる売上高となった。

■セグメントの業績

〔船舶港湾機器事業〕

 国内市場において新造船向け販売や換装需要が低迷したものの、船舶関連機器の保守サービスの需要が堅調に推移したことに加えて、海外市場ではアジア向け新造船の売上が増加した。新商品については、内航船市場向けに中型マリンレーダーの後継機種 BR-2570シリーズ、GPSコンパス TC-300シリーズを市場投入した。

 この結果、売上高は前期比145百万円(1.6%)増収の9,094百万円、営業利益は前期比223百万円(49.0%)減益の233百万円となった。

〔油空圧機器事業〕

 前期に好調だったプラスチック加工機械市場及び工作機械市場での自動車関連設備の需要減少や国内外で米中貿易摩擦の影響があり売上が減少した。新商品については、耐圧防爆電磁切換弁DG4VX-5、カートリッジ形サーボ弁CVSVS及びデジタル制御コントローラSV、加速度センサU-CSを市場投入した。

 この結果、売上高は前期比1,014百万円(7.8%)減収の12,050百万円、営業損失は223百万円(前期営業利益118百万円)となった。

 〔流体機器事業〕

 民需市場、海外市場、消火設備市場は堅調に推移したものの、官需市場で前期に導入が進んだ河川防災向けの危機管理型水位計の販売減等により売上が減少した。

 この結果、売上高は前期比356百万円(8.7%)減収の3,745百万円、営業利益は前期比300百万円(35.6%)減益の545百万円となった。

〔防衛・通信機器事業〕

 官需市場でレーダー警戒装置を始めとする大型量産契約案件等の納入があったことに加え、農業機械関連機器の需要増、放送市場向けの新商品として投入した車載型カメラ防振装置TVACS-V、8Kスーパーハイビジョン伝送ヘリ用アンテナ自動指向装置ADSの販売開始により好調に推移した。

 この結果、売上高は前期比2,355百万円(13.9%)増収の19,264百万円、営業利益は前期比406百万円(77.3%)増益の931百万円となった。

〔その他の事業〕

 検査機器事業は前年同期並みに推移したが、鉄道機器事業で役務工事は堅調だったものの、機器販売で前期にあった海外大型物件が今期はなかったことから売上が減少した。

 この結果、売上高は前期比384百万円(10.5%)減収の3,283百万円、営業利益は前期比108百万円(18.9%)減益の464百万円となった。

■今後の見通し

 我が国経済については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染の拡大により、4月7日に政府により新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令され、その後対象地域が全都道府県に拡大されるに至り、景気は急速に悪化し始めており、今後も極めて厳しい状況が続くと見込まれている。

 このような経営環境の中、次期(2020年度)見通しについては、2019年度に比べ、防衛・通信機器事業の大型案件の納入ピークが過ぎたことから売上高は前期実績を740百万円(1.6%)下回る46,700百万円を予想している。しかし、製品ミックスの変化による原価率の好転に加え、一層のコストダウンの推進等により、営業利益は55百万円(3.0%)増益の1,930百万円、経常利益は39百万円(1.9%)増益の2,050百万円、親会社株主に帰属する当期純利益も105百万円(7.4%)増益の1,530百万円を予想している。

 なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、2020年3月に取締役社長を本部長とする緊急対策本部を設置し、就労環境の変更、不要不急の出張の禁止等により、東京計器グループ従業員や関連する取引先等の従業員の安全と健康を最優先にした対応を採っている。また、東京計器グループの生産に必要な素材・部品等の納品業者からの一部納入遅延や、顧客の生産拠点の一時的な休業や納入延期要請等により、現在東京計器グループの営業活動に短期的な影響が出始めている状況である。しかし、東京計器グループの業績は例年下期偏重という特徴があり、加えて国内官需市場向けの売上や中長期の受注残が多いこと、また海外売上高比率が低いことにより、外部環境の影響を直接的に受け難い特徴があることも考慮し、現時点における2021年3月期通期業績予想を開示した。今後開示すべき事項が生じた場合は速やかに開示する。

 現時点の予想は、売上高46,700百万円(前期比1.6%減)、営業利益1,930百万円(同3.0%増)、経常利益2,050百万円(同1.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,530百万円(同7.4%減)。

 東京計器の2020年3月期決算短信

 期経営方針及び中期事業計画について

 決算説明会資料(6月4日追加)

 説明会補足資料(6月4日追加)

 

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