東レは5月18日、電動化車両(xEV)市場の拡大を背景とした車載コンデンサ用フィルムの需要拡大に対応するため、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)「トレファン(R)」の生産能力を増強すると発表した。土浦工場(茨城県土浦市)に生産設備を増設(2022年稼働開始予定)し、車載コンデンサ用フィルムの生産能力を現行比1.6倍にする。
トレファン(R)はプラスチックフィルムの中でも軽く、強靱性・電気特性・機械的特性に優れたフィルムで、一般工業用・コンデンサ用・包装材料用などに広く利用されている。主力用途であるフィルムコンデンサは、家電・IT機器向け電子部品のほか、xEVのモーターを駆動させるパワーコントロールユニット(PCU)のインバーター(※)回路に使用されている。xEVの運転性能と燃費の向上、さらには車内空間の確保と設計の自由度向上のため、PCU及びフィルムコンデンサの小型・軽量化が求められており、これには、フィルムを薄膜化することが最も有効だが、薄膜化すると耐電圧性が悪化するという問題が生じる。
トレファン(R)は、独自技術により薄膜化と高耐電圧化という相反する性能を両立できるフィルムとして、車載コンデンサ用フィルム市場においてトップシェアを有している。
近年、環境意識の高まりから、自動車に対する世界各国・地域での環境規制強化が進み、従来のガソリン車・ディーゼル車など内燃機関のみの自動車では規制をクリアすることが困難なレベルになりつつある。こうした背景から、xEV市場は環境規制の厳しい欧州や中国を中心に年率約20%の高成長が見込まれている。xEV市場の拡大を背景とした今後の更なる車載コンデンサの需要拡大に応えるべく、東レ土浦工場でのOPPフィルム「トレファン(R)」の生産能力を増強する。
東レは、今後も「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の企業理念のもと、土浦工場での早期の生産能力拡充により、成長市場の取り込みを図り、更なる事業拡大を目指す。
<語句説明>
※インバーター:直流または交流から、周波数の異なる交流を発生させる電源回路、またはその回路を持つ装置のこと。