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加藤製作所、2019年度売上は8.8%減の779億円、業績予想は未定

 ㈱加藤製作所が5月14日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、売上高は778億9千4百万円(前年同期比91.2%)、営業損失2億8千2百万円(前年同期は営業利益44億6千2百万円)、経常損失4億4千4百万円(前年同期は経常利益47億9千4百万円)となった。さらに、生産体制等の再構築を図ったことにより工場移転費用5億6百万円を計上し、また連結子会社であるKATO WORKS(THAILAND)CO.,LTD.の業績悪化により減損損失4億1千2百万円を計上したため、親会社株主に帰属する当期純損失は13億2千9百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益30億3千4百万円)となった。(数値表記は原文を尊重しています)

■経営成績の概況

 2019年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が見られたものの、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減や中国経済の減速による輸出の減少により、緩やかな景気減速局面となった。加えて、年度末に感染拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、景気の先行きが極めて厳しい状況になった。

 事業環境においては、国内では建設用クレーンの構造規格変更によるモデルチェンジ前の駆け込み需要や消費税増税前の駆け込み需要があったものの、それらの駆け込み需要の反動減により需要は減少した。海外では、欧州地域は需要が増加したものの、その他の地域は新型コロナウイルス感染症の影響もあり需要は減少した。

 このような状況下、加藤製作所グループは、横浜工場の生産機能を群馬工場へ移転し、生産体制の再構築を行った。また、部品供給体制の効率化を図るため、国内各工場の補修部品を新設した坂東工場へ集約した。

 なお、非連結子会社であったKATO IMER S.p.A.とKATO EUROPE B.V.及びICOMAC,INC.は2019年度より重要性が増したため連結の範囲に含めている。また、持分法非適用関連会社であったCOMPACT EXCAVATORSALES,LLCを2019年度より重要性が増したため持分法適用の範囲に含めている。

 加藤製作所2019年度データ

■セグメント別状況

<日 本>

 国内向けの建設用クレーンは、当期の前半は構造規格変更によるモデルチェンジ前の駆け込み需要等により順調に推移したものの、後半にかけては駆け込み需要の反動減や消費税増税による影響により売上高が大幅に減少した。また、前年同期比では小型機種を中心とした販売構成となったため、製品ミックスの変化により利益率は悪化した。海外向けの建設用クレーンは、中国経済の減速が東南アジア経済にも影響し、インドネシアを中心に売上高は減少した。さらに新型コロナウイルス感染症の感染拡大により生じた原油安や新興国の通貨安の影響により年度末にかけて売上は急速に減少した。

 国内向けの油圧ショベル等は、消費税増税の影響が見られたもののクローラキャリアの拡販に注力し、売上は前年並みに推移した。海外向け油圧ショベル等は、工場移転の影響により工場稼働率が低下し一部製品に出荷遅れが生じたため売上が減少した。

 その結果、日本の売上高は670億3千万円(前年同期比88.7%)となった。生産体制及び部品販売体制の再構築に伴う工場新設等の影響により減価償却費が大幅に増加し、さらに海外で開催された大規模展示会の出展費用が発生したことにより、セグメント損失は13億5百万円(前年同期はセグメント利益20億6千8百万円)となった。

<中 国>

 中国経済が減速し始めたことによりインフラ投資が鈍化しつつあるなかで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により春節明けの需要もなくなり、売上高及びセグメント利益は前年同期から大幅に減少した。中国の売上高は98億2千3百万円(前年同期比69.9%)。セグメント利益は11億8千5百万円(前年同期比49.5%)となった。

<その他>

 タイで建設用クレーンを製造販売している連結子会社KATO WORKS(THAILAND)CO.,LTD.の売上高は増加した。また、イタリアでミニショベル等を製造販売しているKATO IMER S.p.A.及びオランダで建設用クレーンや油圧ショベル等を販売するKATO EUROPE B.V.を2019年度より連結の範囲に含めたことにより、その他の売上高は49億1千5百万円(前年同期比673.2%)となった。セグメント損失は6億4千4百万円(前年同期はセグメント損失3億1百万円)となった。

■主要品目別売上高の状況

<建設用クレーン>

 国内向けの建設用クレーンは、当期の前半は構造規格変更によるモデルチェンジ前の駆け込み需要等により順調に推移したものの、後半にかけては駆け込み需要の反動減や消費税増税による影響により売上が大幅に減少した。また、小型機種を中心に販売台数は前年同期比で増加したものの、中・大型機種の販売台数は減少し売上高は伸び悩んだ。国内建設用クレーンの売上高は426億6千7百万円(前年同期比96.4%)となった。

 海外向けの建設用クレーンは、中国経済の減速が東南アジア経済にも影響し、インドネシアなどを中心に売上高は大幅に減少した。さらに新型コロナウイルス感染症の感染拡大により生じた原油安や新興国の通貨安の影響により年度末にかけて売上高は急速に減少した。海外建設用クレーンの売上高は51億4千5百万円(前年同期比67.8%)となった。

 建設用クレーンの売上高は478億1千3百万円(前年同期比92.3%)となった。

<油圧ショベル等>

 国内の需要は、消費税増税の影響が見られたもののクローラキャリアの拡販に注力し、売上は前年並みに推移した。国内油圧ショベル等の売上高は122億4千4百万円(前年同期比97.9%)となった。

 海外向け油圧ショベル等は、中国経済が減速し始めたことによりインフラ投資が鈍化しつつあるなかで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により春節明けの需要がなくなり、売上が大幅に減少した。海外油圧ショベル等の売上高は167億8千5百万円(前年同期比85.5%)となった。

 油圧ショベル等の売上高は290億2千9百万円(前年同期比90.3%)となった。

<その他>

 路面清掃車や万能吸引車の需要が減少し、国内売上高は10億3千1百万円(前年同期比73.7%)。海外売上高は1千9百万円(前年同期比46.1%)となった。よって、その他の売上高は10億5千1百万円(前年同期比72.9%)となった。

■今後の見通し

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、国内外の経済は大きく減速することが想定される。新型コロナウイルス感染症の今後の動向は見通すことが困難であり、収束時期によっては加藤製作所の2020年度の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある。よって、現時点においてその影響を合理的に見積もることは困難であるため、業績予想は未定とした。今後、業績予想の算定が可能となった段階で、速やかに公表する。

 加藤製作所の2020年3月期決算短信

 決算説明資料

 

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