利益面については、前年同期に計上した工場集約の一過性費用などの減少により、売上総利益は5,821百万円(同112.7%)、営業利益は1,887百万円(同134.9%)、経常利益は1,625百万円(同102.6%)とそれぞれ増益。その結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,836百万円(同144.5%)と増益となった。
■第2四半期の経営成績に関する説明
第2四半期累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、景気の停滞感が急速に強まっている。人やモノの移動制限に伴い不要不急の消費が控えられるとともに、経済活動の停止により雇用や設備投資に大きな影響が出始めている。我が国経済においても、大企業製造業の業況判断指数がマイナスに転じるなど、景況感は急速に悪化している。
同社の属するストレッチブロー成形機業界は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、医薬品や衛生品などのウイルス対策用品や、食料・飲料及び日用品などの生活必需品といった、エッセンシャル・ビジネスとしての需要は底堅いものの、世界的な生産活動縮小に伴うサプライチェーンの停滞や、生産活動の停止に伴う投資抑制など、一時的なマイナス影響も予見される。
こうした環境下、日精エー・エス・ビー機械グループは「人と社会に豊かさを提供する」「高い技術、サービスで恒久的な存続を追求する」との経営理念に基づき、中長期的な成長発展方針を継続し、事業規模の拡大を見据えた各種戦略的施策の展開に注力した。
技術面では、各種技術開発に積極的に注力している。同社の得意領域である、高品質・高付加価値生産が特徴のワンステップ成形機の優位性を高める「ゼロ・クーリングシステム」の更なる進化を図り、既存製品の機能向上に努めた。また、ツーステップ市場でのシェア拡大を企図するため、高品質・高付加価値の強みを活かしながら、量産性も追求する新型機の開発を強化している。さらに、容器用途の多様化を可能とする画期的な二層成形法を確立し、新型機を開発した。これは、2種類の材料の組み合わせや使用比率等を容器用途に応じて変更できる技術であり、内外層に別々の材料を使用することで、容器の物性強度やデザイン性を向上させることができる。
販売面では、ドイツで開催された世界最大のプラスチック展示会(K2019)に出展し、ゼロ・クーリングシステム搭載機や環境対応技術を披露することで、顧客から高い評価を得た。また、高品質な中小型容器の大量生産を得意とする1.5ステップの大型機が順調に受注を獲得するなど、顧客と市場の幅を着実に広げつつある。
生産面では、旺盛な金型需要に対応するため、インド工場への金型生産設備の追加導入を進めている。また、同社の高収益構造の源泉であるインド工場を活用したコストダウンをさらに推進すべく、既に全面移管済みの中小型機に加え、大型機についても生産移管の範囲を拡大している。
環境対応技術では、「3R+Renewable」への取り組みを継続し、「材料使用量の削減」、「PETボトルリユースの提案」、「リサイクル材料の使用促進」、「バイオプラスチックのボトル成形」などのソリューションを提供することで、環境配慮型の技術提案を強化している。特に、リサイクル材料の使用においては、上述の二層成形法により、バージン材と組み合わせることで、環境配慮型の容器成形をこれまで以上に促進することができる。今後、プロセスの改良や量産機の開発を行い、市場ニーズに即した販売活動を展開していく。
■製品別売上高状況
■セグメント(地域)別売上高状況
<米 州>
前年同期に反動減で低迷した中南米市場が回復したため、地域全体の売上高は3,654百万円(前年同期比131.6%)と増収。セグメント利益は、売上高の増加及び前年同期に売上債権に対して計上した貸倒引当金が当期において戻入となったことにより、577百万円(同359.3%)と増益となった。
<欧 州>
<南・西アジア>
地域ごとの濃淡はあるものの、前年同期に売上を伸ばした中東市場での反動減などにより、地域全体の売上高は3,982百万円(前年同期比85.0%)と減収。セグメント利益も、284百万円(同43.5%)と減益となった。
<東アジア>
主要市場の中国と日本で減収となり、地域全体の売上高は1,963百万円(前年同期比79.6%)と減収。一方、セグメント利益は前年度に計上した工場集約の一過性費用の減少、グループ会社向けの採算性の向上等の影響により、2,061百万円(同119.7%)と増益となった。
■2020年9月期連結業績予想は一旦取り下げ
現在、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大しており、収束の時期や感染拡大による影響が見通せない状況にある。主力工場があるインドにおいて、2020年3月25日からインド全土でロックダウンが続く中、インド工場では、一時停止後、生産能力を大幅に縮小しながらも操業を再開している。また、世界各国の顧客においても、生産工場の操業停止や、人とモノの移動制限等により、ビジネス活動が大きく制限されている。
こうした状況下、現時点では、業績に与える影響度やその期間が見通せず、業績予想の合理的な見積もりが困難であるため、2020年9月期の連結業績予想については、2019年11月12日公表の予想を一旦取り下げ、未定とした。なお、業績予想については、合理的な予想が可能となった時点で速やかに開示する。
日精エー・エス・ビー・機械の2020年9月期第2四半期決算短信
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