■経営成績の概況
このような状況の中ではあったが、日工グループに関係の深い建設関連業界は、これまでのところは、あまり直接的な影響を受けることなく、堅調に推移した。今後についても、建設関連業界全般について影響度合い は小さいものと予想しているが、日工の顧客の今後の投資動向については従来以上に注視していく。
具体的には『国内収益基盤の強化による国内売上高営業利益率10%の確保』、『ASEANに拠点を構築し海外売上を現状の45億円から倍増』、『新規事業を推進し、産業機械・建設機械分野で新たな製品の柱を構築し新規事業で売上高100億円を創出』、『事務集中化、IoT・AIの活用による働き方改革を通じ労働生産性の大幅な向上』『ROEをKPIとし、ROE8%以上の達成、同時に株主還元を強化』である。この5つの基本方針を軸に、コーポレートガバナンスの強化、透明性の 高い活力ある企業運営を目指していく。
2019年度の国内は、日工の主力事業であるアスファルトプラント関連事業の売上高が対前期比で増加した。これは、全国的に道路関連公共事業の発注が順調だったことと、前々年度は、大手道路会社が独禁法違反で摘発され、その後一定期間営業停止となったことの反動で前年度後半に受注残高が積みあがっていたため。また、コンクリートプラント関連事業の売上高も、期初の受注残高が対前期比で多かったため、対前期比 で増加した。
海外では、中国でのアスファルトプラント関連事業の売上高は、政府の積極的なインフラ投資政策と環境規制の高まりを受け、大きく売上高を伸ばした前年度の実績を更に上回る結果となった。中国以外の海外市場での売 上は、台湾では大きく売上を伸ばしたが、戦略市場と位置付けているASEAN市場では売上が伸び悩んだ。
■部門別の概況
<アスファルトプラント関連事業>
国内売上高は、製品の売上高は前期比増加した一方でメンテナンス事業の売上高が減少し、前期比4.2%増となった。一方、海外の売上高は中国、及び輸出ともに前期比増加し、前期比 14.2%増となった。この結果、当事業の売上高は、前期比6.5%増の175億18百万円となった。受注高、受注残高は前期比減少した。
<コンクリートプラント関連事業>
売上高は、製品、メンテナンス事業の売上高ともに前期比増加し、この結果、 同事業の売上高は、前期比16.0%増の91億58百万円となった。受注高、受注残高は前期比増加した。
<環境及び搬送関連事業>
環境製品の売上高は、前期比31.9%減。搬送製品の売上高は、ほぼ前期並みとなった。この結果、売上高は前期比5.0%減の26億34百万円となった。受注高、受注残高は前期比減少した。
<仮設及び土農工具等その他事業>
仮設機材製品の売上高は、前期比11.5%増。土農工具製品の売上高は、前期比4.3%減。破砕機製品の売上高は前期比4.7%増。その他事業のその他はモバイル事業及び防水板事業が大きく伸長したことで前期比48.9%増となった。この結果、売上高は、前期比24.8%増の58億40百万円 となった。受注高、受注残高は増加した。
■今後の見通し
日工グループの事業領域である建設関連分野は、コロナウィルス感染拡大の影響度合いは他産業対比相対的には小さいと思われる。またコロナウィルス感染終息後は、景気対策として政府建設投資が伸びることが予想される
一方で、海外は、主力市場である中国では、引き続きインフラ投資は積極的に行われ、また環境規制の一層の 強化、リサイクル合材の本格的使用開始等、日工にとって、これまで国内で培ってきた技術力が活かされる市場環境が当面は続くものと見ている。今後の成長市場と目論んでいるASEANについては、タイに設立したNikko Asia (Thailand) Co., Ltd.を通じて積極的に市場開拓を進めて行きたいと考えている。
通期の連結業績見通しについては、連結売上高365億円、連結営業利益22億円、連結経常利益27億円、親会 社株主に帰属する当期純利益18億50百万円を達成したいと考えている。