第3四半期まで米中貿易摩擦による影響が続いたことと、第4四半期には新型コロナウイルス感染症により受注活動が滞ったことで、中国をはじめすべての地域で牧野フライス製作所の受注が減少した。これに加えて、欧米の航空機メーカの生産に遅延や停止があったことで、航空機向けの受注も減少した。
■報告セグメント別の受注状況(現地通貨ベース)
<セグメントⅠ> (牧野フライス製作所「個別」および国内連結子会社)
牧野フライス製作所の国内受注は前年度を下回った。前年度に好調であった半導体製造装置、およびロボット向け受注の減少が主な理由です。自動車向け受注も減少した。
<セグメントⅡ> ( MAKINO ASIA PTE LTD )
アジアはすべての地域で前年度を下回った。中国は自動車向けを中心に減少した。第4四半期には新型コロナウイルス感染症の影響により営業活動が停滞した。インドは、自動車の販売台数が低迷を続けたことで減少した。その他の産業向けも低調だった。アセアン地域も減少した。このうちベトナム向けは微減にとどまった。
<セグメントⅢ> ( MAKINO INC.)
前年度を下回った。航空機向け受注については、航空機メーカの一部機種の生産停止による影響を受けて減少した。自動車向けは、主な向け先であるSUVとピックアップトラックで減少傾向が継続した。医療向けについては堅調に推移したが、全体の減少を補うことはできなかった。
<セグメントⅣ >( MAKINO Europe GmbH )
前年度を大きく下回った。自動車や一般機械向けは、欧州の景気悪化に伴い見込んでいた案件が延期となるケースが相次いだ。航空機向けは、欧州の航空機メーカの生産が計画に対し遅れていることで、牧野フライス製作所が見込んでいた案件の延期や、受注した案件のキャンセルが発生し、下期の受注が大幅に減少した。
■今後の見通し
次期の受注は当期を下回る見通し。新型コロナウイルス感染症の影響により、顧客が設備投資を見合わせる状況が継続すると見ている。中国においては経済活動が再開しつつあるが、そのほかの地域では上期に大きなマイナスの影響が出るとみている。新型コロナウイルス感染症の問題が改善に転じた後の受注回復のペースは、緩やかなものとなる見通し。
<セグメントⅠ> (牧野フライス製作所「個別」および国内連結子会社)
牧野フライス製作所の国内受注は、当期を下回る見通し。顧客の設備投資の見合わせが続いているが、政府の緊急事態宣言後も顧客からのサービスコールの件数に大きな変化はなく、顧客は稼働を継続されている状況。5Gスマートフォンや、テレワークのための通信デバイス向けの需要が増えることで、半導体製造装置向けの受注が増加すると期待している。自動車向けでは、下期からモデルチェンジに向けた設備投資が出てくる見込み。
<セグメントⅡ >( MAKINO ASIA PTE LTD)
アジアは各地域において、当期を下回る見通し。中国は、新型コロナウイルス感染症が発生する前の受注水準に戻ると見ているが、そこから一層の回復は難しいとみている。こうした中でも、自動車の燃費規制に対応した自動車の生産が本格化することによる設備投資を期待している。自動車の金型や、エンジンやトランスミッションの部品加工向けの引き合いが再開しつつあり、下期にかけて受注につながるとみている。スマートフォン関連で受注を見込んでいる大型の案件はない。5Gスマートフォンのコネクタ向けなどの受注は引き続き底堅く推移するとみている。インドは、自動車の燃費規制の切替えによる、新車販売台数の減少が落ち着くまで低調が続くとみている。アセアン地域については、引き続きベトナム向け受注が中心となるとみている。そのほかインドネシアやタイ等の地域は厳しい状況が続くとみている。
<セグメントⅢ> ( MAKINO INC.)
当期を大幅に下回る見通し。航空機の構造部品向けについては、航空機メーカの一部機種で生産が再開された後も、顧客の設備投資は緩やかなものになる見通し。自動車向けは、SUVとピックアップトラック向けを中心として、減少傾向が続くとみている。医療向けについては堅調を続けるとみている。
<セグメントⅣ> ( MAKINO Europe GmbH )
低迷した状況が続くことで、当期並みに推移する見通し。欧州の景気が悪化したままであり、先の見通しが難しい状況。
決算説明資料(5月1日追加)