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新明和工業、航空旅客搭乗橋「フルオートシステム(完全自動装着システム)」を開発

・空港のスマート化に向けて、アジア初 チャンギ空港で実証実験を実施

 新明和工業は3月30日、航空旅客搭乗橋のオプションとして、「フルオートシステム(完全自動装着システム)」の開発に成功したと発表した。

 今回開発した「フルオートシステム」は、新たなAI(人工知能)による画像認識技術を活用し、オペレーターが始動ボタンを1回押すだけで、従来の搭乗橋の自動走行機能に加えて、クロージャー(雨風を避けるための屋根部分)を航空機のドアへ装着させるまでの一連の作業の完全自動化を実現したもの。同システムは、2019年10月からチャンギ空港(シンガポール)で実証実験を行い、その安全性と精度について、同空港および同空港を利用する航空会社、いずれからも高い評価を得ている。同製品は、今後、引き続き実証実験を行った後、2020年5月から受注活動を開始する予定。

 新明和工業では、これまでに航空機の10センチメートル手前まで搭乗橋が自動走行する「自動装着システム」を商品化しており、2017年5月からは徳島阿波おどり空港で、これに続いて成田国際空港でも実運用が進んでいる。現在実運用されている自動装着システムは、さまざまな気象状況や、機体に3つのドアを有するエアバス社製「A380」をはじめとするさまざまな機種に対応しており、導入した空港関係者からも高評価を得ている。

■徳島空港ビル株式会社のコメント:

 「これまで、搭乗橋の装着は個人の技量に依存し、担当者によって所要時間に差があったが、本システム導入後は天候や担当者の技量に左右されることなく装着時間が一定化され、その結果、タクトタイムの計画が立てやすくなったことが一番のメリット。簡単な操作で確実に装着できるため、担当者の精神的な負担軽減やヒューマンエラーの解消にもつながるなど、空港のスマート化に向けた大きな一歩となった。」

 現在、世界各所で空港のスマート化が進んでおり、さらなる定時運航率向上に向け、安全を担保されることを条件とした、搭乗橋の航空機への装着作業の完全自動化に期待が寄せられている。

 こうした中、今回開発した「フルオートシステム」は、従来の自動走行機能をさらに進化させ、航空機の機種の入力や、10センチメートル手前からの装着作業などの、オペレーターによる操作が不要となるシステムを確立した。従来の自動装着システムでも、航空機ごとに設定する機種情報を登録することにより、対応機種を増やしていくことが可能だったが、「フルオートシステム」は、航空機の機種に依存することなく、航空機への搭乗橋の装着姿勢を計算できるため、新しい航空機に対応するために、新たに情報を収集したり、システムへ情報を追加したりするなどの、人による作業が発生せず、全てシステム上で自動対応することも特長の一つ。また装着までの軌跡を逆に走行することで「完全自動離脱」も実現した。

■新明和工業の強み:稼働中の全ての搭乗橋が同社製チャンギ空港(シンガポール)で「99.95%の稼働率」を維持、アジア(中国を除く)ではトップシェア

 新明和工業は、1969年に国産初の搭乗橋を東京国際空港へ納入したパイオニアで、これまでに世界60カ国以上の空港に、のべ1,000基以上の製品を納入している。

 近年は、シンガポール、タイなど東南アジアの空港で採用数が伸びており、現在、アジア(中国を除く)ではトップシェアを誇る。特に、アジアにおけるハブ空港であるシンガポールのチャンギ空港では、現在稼働している航空旅客搭乗橋全てが同社製で、メンテナンスも同社グループが請け負っている。同空港が求める「99.95%の稼働率」という厳しい条件をクリアし続ける実績が品質の証であり、中部国際空港、大阪国際空港、神戸空港でも、稼働している搭乗橋全てが同社製であるなど、国内外の主要空港施設会社から広く信頼を得ている。

 今後も、東南アジアをはじめその他の地域への進出も視野に入れつつ、空港施設が抱える課題に自社の技術力をもって応えることで、空港の生命線である高稼働率の維持・向上に貢献していく。

 詳細は、ニュースリリース

 

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