kikai-news.net

日立造船、国内2例目となる海底設置型フラップゲート式水門製作・据付工事を受注

・兵庫県淡路島の防災に貢献

 日立造船は3月12日、兵庫県より南あわじ市福良港に設置される国内2例目となる海底設置型フラップゲート式水門の製作・据付工事を受注したと発表した。

 兵庫県は、近い将来に発生が予想される南海トラフ地震に備え、津波防災インフラ整備計画を各地で進めている。南あわじ市は漁業と観光が盛んな地域であり、特に福良港は後背域に数多くの住宅があることや、同港が鳴門のうずしおを見学するための「うずしおクルーズ」の出発地であること、500年の伝統を誇るあわじ人形浄瑠璃を鑑賞できる「淡路人形座」などがある風光明媚な観光地であることから、兵庫県は重点整備地区として対策を進めている。

 同港地域は南海トラフ地震発生時の津波水位が高いことが予想され、レベル1津波に対しては避難を前提とした浸水被害の軽減、レベル2津波に対しては水位をレベル1津波水位並みに低減し、浸水被害を軽減することを目的に水門や陸閘、防潮堤の整備が進められている。

 受注した工事は、福良港内にある煙島と洲崎防波堤の開口部を津波発生時に閉鎖するための水門設置工事であり、水門形式としては海底設置型フラップゲート式水門が採用された。兵庫県は、福良港での整備を進めるにあたり、水門閉鎖操作の自動化により、短時間での確実な閉鎖や操作員の安全を確保することも対策としているが、海底設置型フラップゲート式水門の採用に当たっては、同設備の特長が高く評価された。

【海底設置型フラップゲート式水門の主な特長】

1.普段は海底に倒伏した状態で函体に格納されており、津波発生時には扉体先端に取り付けられた係留フックを解除することで、短時間で自動的に水面まで浮上する。

2.海底に設置されているため景観に優れ、船舶などの航行が可能。

3.扉体の空気量を把握することで、扉体の状態監視が可能。また、扉体に空気が入っていることで扉体が常に揺れ動くため、扉体の固着防止につながる。

 日立造船の水門事業は1924(大正13)年に始まり、約100年の歴史を有している。その間、国内初のアーチ型水門(大阪府:安治川水門)など様々な形式の水門を国内外に納めているが、海底設置型フラップゲート式水門については日立造船と東洋建設五洋建設が共同で開発した新たな形式の水門。日立造船は、水門以外にも橋梁や煙突、海洋構造物など社会インフラ事業を手がけているが、持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備に積極的に貢献していく。

<受注概要>

発注者:兵庫県(井戸 敏三知事)

工事名:福良港 煙島水門設置工事(機械工)

扉体寸法:純径間25m、有効高:11m

工事場所:兵庫県南あわじ市福良

工期:2020年4月1日~2022年3月25日

受注金額:23億円(税抜き)

 ニュースリリース

 

モバイルバージョンを終了