・JICA案件、電力供給の安定化と多様化に貢献
豊田通商は2月28日、2月14日にエチオピア電力公社(Ethiopian Electric Power)と、5MWアルトランガノ坑口地熱発電所の建設請負契約を締結したと発表した。建設資金は、独立行政法人国際協力機構(JICA)の無償資金協力により供与される(贈与契約金額は18億4,200万円)。主要発電設備の地熱タービン・発電機は、東芝エネルギーシステムズ社製を導入し、建設工事は、トルコのエンジニアリング会社エゲシム社(Egesim Energy Electro-Mechanic Construction Contracting Co., Ltd.)を採用する。同事業は、エチオピアで商業用の地熱発電所の先駆けとして建設するもので、同国の地熱発電開発の基盤事業として位置づけられている。
エチオピアは急速な人口増と著しい経済成長に伴い、電力需要も増加の一途をたどっている。一方で、同国の電力需要の約9割を担う水力発電は、近年の気候変動の影響により不安定さが増し、計画停電を行うなど電力不足が顕在化している。このためエチオピアでは、電力供給の安定化に向け、水力以外の再生可能エネルギーによる電源開発が急務となっている。その中でも安定的に稼働できる地熱発電は有効な基幹電源の候補として高い期待が寄せられている。エチオピアは、約10,000MW相当の豊富な地熱資源を有し、エチオピア政府は2030年までに約2,500MW相当の地熱発電所の新規開発を計画している。
今回契約した事業の地熱発電所は、エチオピア中部のアルトランガノ地熱鉱区に建設予定。同鉱区は地熱資源量の大きさ、開発コストの観点から優先開発地として挙げられ、日本政府や世界銀行などの支援により既に蒸気井の開発が進められている。
今回の発電所は、これら既存の蒸気井を活用し建設するため、早期に建設着工、発電開始が実現できる見込み。同事業の導入を機にアルトランガノ鉱区および他鉱区の地熱発電開発が拡大されていく予定。
同事業は、豊田通商のアフリカでの地熱発電事業としては、ケニアに次いで2カ国目の取り組みになる。豊田通商は、「アフリカ戦略」と「再生可能エネルギー戦略」を重点分野として推進しており、地熱、風力、太陽光発電技術を活用したビジネス開発に取り組み、経済発展に不可欠なエネルギーインフラ整備を通じてアフリカに貢献していく。
<事業概要>
所在地:エチオピア連邦民主共和国 オロミア州東シェワ郡アルトランガノ地域
契約先:エチオピア電力公社
契約概要:5MW アルトランガノ坑口地熱発電所(建設)請負
・発電所の設計、調達、建設工事
・蒸気井から発電所までの蒸気供給および熱水還元設備、配管の設計、調達、建設工事
・既存送電線への接続
運転開始時期:2021年8月(予定)