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日立建機、2019年4~12月売上収益は7.5%減の約6,872億円

・油圧ショベルの世界需要は前回より5千台下方修正

・大型マイニングは前年水準が続く見通し

・通期見通しは期初見通し変えず

 日立建機が1月29日に発表した2020年3月期第3四半期(2019年4~12月)の売上収益は、6,871億8千8百万円(前年同期増減率△7.5%)となった。利益項目については、前年同期比較では、売上収益の減少、為替の円高影響等により、調整後営業利益は587億4千2百万円(同△31.0%)、営業利益は573億6千2百万円(同△29.5%)、親会社株主に帰属する四半期利益は351億1千2百万円(同△31.6%)となった。(*表記は原文尊重)

 前年度と比較し円高基調で推移した為替の影響、国内では一部のサプライヤーの台風被害により生産に影響を受けたこと、さらに中国・アジア・インド・オセアニア・中東・アフリカ等の市場での油圧ショベル需要の前年同期割れなど、建機市場の減速影響や中小規模鉱山会社からの需要が減少した。

 日立建機2019年4~12月期データ

■経営成績に関する説明

 日立建機グループは、今年度が最終年度となる3カ年の中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」の経営施策を重点的に推進しており、顧客の事業課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト(燃料費・維持費・修理費等を含む費用)低減」に繋がるICT・IoTを活用した解決策を「Solution Linkage®」と位置付け、積極的に取り組んできた。

 部品サービス事業では、「ConSite®」の浸透を図っており、とりわけ2017年度より始めた建設機械業界初の、センサによりオイルの状態を遠隔で検知しエンジンや油圧機器の故障予知を行う「ConSite® OIL」を、ヨーロッパ、日本、オーストラリアに続き、今期は東南アジア・中国市場へ提供を開始する等、世界各地の顧客のライフサイクルコストの低減に取り組んでいる。

 マイニング事業については、日立グループとの協業により高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-3シリーズの拡販に努め、鉱山運営の効率化に貢献するマイニング機械の運行管理システムの提供や自律運転技術(AHS)の開発に積極的に取り組んでおり、今年前半の商用化をめざし、オーストラリアのホワイトヘイブン社と協業を進めている。

 また、買収したマイニング設備関連の事業を中心とするH-E Parts社、Bradken社では、機械の部品サービス等のソリューション事業を強化している。Bradken社では、今期から日立建機のダンプトラック用の純正荷台の出荷を始め、グループの協業を深化させている。

 レンタル事業では、米国のACME社への出資やイギリスのSynergy Hire社設立に続いて、中国でも事業強化を進めており、今後さらにアジア・大洋州でも展開を図っていく。

 このように、日立建機は新車販売以外での収益拡大を図るべくバリューチェーン(新車販売以外の事業である部品サービス、ソリューションビジネス、レンタル等の事業)の強化を進めている。

■各セグメントの業績

①建設機械ビジネス

 4~12月期における油圧ショベル需要は、日本や北米においては堅調に推移したものの、世界的に先行き不透明感の拡がる中、中国・アジア・インド・オセアニア・中東・アフリカ等で前年同期を下回った。

 一方、マイニング機械需要は大規模鉱山を所有する大手鉱山会社からの需要は、前年同様の水準で推移しているが、中規模鉱山会社からの需要は減少している。

 この結果、4~12月期の売上収益は、部品サービスを中心とするバリューチェーンは伸びたものの、台風の影響で生産に影響を受けたこと、一部市場の減速で新車販売の減少や円高影響等を受け、6,182億7千7百万円(前年同期増減率△7.7%)となった。調整後営業利益は、同じく円高影響で、523億6千1百万円(同△35.0%)となった。

②ソリューションビジネス

 当事業は、2016年度に連結子会社化した、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken社とサービスソリューションを提供するH-E Parts社で構成されている。

 4~12月期の売上収益は、ロシアCISや米州等でマイニング機械向け売上が堅調に推移し、前年同期比では現地通貨ベースでは増収は確保したものの、円高影響により、701億9千5百万円(前年同期増減率△4.6%)となった。調整後営業利益は、オーストラリアの事業が好調で、Bradken社で昨年度までに実行した事業構造改革の効果もあり、63億8千1百万円(同40.8%)となった。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 4~12月期の建設機械需要は日本や北米においては堅調に推移したものの、アジア・インド・オセアニア等では想定以上に前年度を下回り、引き続き年度全体でもこの傾向が続くと想定されることから、2020年3月期通期での建設機械需要見通しは、前回発表時の21万7千台(前年同期増減率△8%)から、今回21万2千台(前年同期増減率△10%)へ、5千台下方修正した。

 この一方、マイニング機械は大規模鉱山を所有する大手鉱山会社の投資意欲が続くと見られ、特に大手鉱山向け積載質量150トン超のダンプトラックと運転質量300トン超の油圧ショベルの需要と納入は、前年同様の水準が続く見通し。

 ソリューションビジネスも、主たる顧客の鉱山会社の順調な資源生産に伴い機械・設備は高水準の稼働が継続すると見込まれる。

 このような状況を踏まえ、日立建機グループでは、部品サービスを中心としたバリューチェーンの拡大やマイニング事業の強化を進め、顧客の課題に対するさまざまな解決策を提供することで競争力の強化を図り、引き続き原価低減を進めていく。加えて、これまで取り組んできた棚卸資産のさらなる適正化を図るべく、経営効率の向上に取り組んでいく。

 以上の取り巻く状況と4~12月期の実績を踏まえ、2020年3月期連結業績予想(2019年4~2020年3月)は、2019年4月24日公表値を据え置いた。

 なお、業績見通しの前提となる2020年1月以降の為替レートについても、予想変動レンジの下限の米ドル100円、ユーロ110円、人民元14.5円、豪ドル70円を据え置いた。

 日立建機の2020年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料

 

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