・欧州でロボットシステム事業強化、市場シェア10%、売上100億円目指す
㈱ダイヘンは1月21日、ドイツのロボットシステムインテグレータ(以下、SIer)であるLASOtech Systems GmbH(以下、ラゾテック社)を買収したと発表した。買収により、欧州市場のアーク溶接ならびにその前後のハンドリングを含む自動化対応力を強化する。今後、欧州でのロボットシステム事業をさらに強化し、2020年には欧州でのアーク溶接ロボットの市場シェア10%、売上高100億円を目指す。
■背景
世界的な人手不足や人件費の高騰で生産自動化のニーズが高まっており、欧州においても自動車業界だけでなく様々な業界にロボット市場が拡大している。ダイヘンが得意とし、自動車の生産などに欠かせないアーク溶接工程においても、従来の工程単独のセルでの自動化から前後工程も含めたラインでの自動化へと、自動化の範囲・考え方も進化している。
こうしたライン全体の自動化を実施するには、ロボットだけでなく様々な周辺機器を組み合わせながら顧客ニーズに合ったシステムに仕上げる必要があり、その構想・設計・制作を担うSIerの存在が益々重要となっている。一方、溶接・切断加工技術においては、近年、自動車業界を中心にその高速・高精度という特徴からレーザ加工技術が注目されており、特に欧州ではその活用も加速的に広まりつつある。
ラゾテック社は、2007年に創業以来、SIerとして欧州の大手自動車メーカーを中心に顧客の工場自動化に貢献していることに加え、様々な業種でニーズが高まっているレーザアプリケーションも得意としており、自動車産業はもちろん、それ以外の業界からも評価が高まっている。
今回の買収により、ダイヘンが得意とするアーク溶接技術とラゾテック社が有する多様なアプリケーション対応力を融合し、需要が拡大している欧州市場におけるお客様の工場全体の自動化に貢献するとともに、欧州での販売を一層強化していく。
■欧州での事業拡大に向けたダイヘンの取組み
・2014年に東欧No.1の溶接機器メーカー「バストロイ社(スロベニア共和国)」を買収
・2016年に自動車をはじめとした欧州産業の中心で、ダイヘンバストロイ社からのアクセスも良いドイツ南部のミュンヘンにテクニカルセンターを新設し、デモ・ソリューション体制を充実
・2018年度より日本人エンジニアによる現場巡回及び代理店・SIerへの教育を行う「On Site Mobile Service」を展開。技術者視点でのタイムリーなソリューション提案などにより、顧客との関係性を強化
■ラゾテック社の概要
2007年の創業以来、自動化生産ラインの設計・製作・据付からメンテナンスまで一貫したソリューションを提供することにより、欧州の大手自動車メーカーを中心に、顧客の生産自動化の課題解決において豊富な実績を有するSIer。近年では大手厨房機器、家電メーカーなど非自動車業界の顧客にも販売チャネルを開拓し、その業容を拡大している。
会社名:LASOtech Systems GmbH
代表者:Peter Beike
設立:2007年
事業概要:ロボットを活用した自動化システムの設計・製造・販売
売上高:約20億円(2019年予想)※連結対象外。今後の状況により対象とするか判断
従業員数:約60人
ウェブサイト:https://www.lasotechsystems.com/
■シナジー効果
1.アプリケーションの多様化による販売拡大 ・ラゾテック社が得意とするレーザ溶接・切断、ハンドリング、シーリングなどの多様なアプリケーションを活用することで、アーク溶接以外の用途のロボット販売を拡大する。
ダイヘンが得意とするアーク溶接の前後工程に、ラゾテック社のハンドリングアプリケーションを活用することで、工場全体の自動化対応力を強化する。
2.大手ユーザへの販売拡大 ・ラゾテック社が持つ欧州の大手自動車顧客に対し、ダイヘンのアーク溶接技術とラゾテック社のシステム対応技術を組み合わせた他社差別化できるアーク溶接システムを提案し、販売を拡大する。