明けましておめでとうございます。
令和となって初めて迎える新年の年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。
さて、我が国の経済状況は、7~9月期のGDP成長率が前期比0.4%増と、4四半期連続のプラス成長となり、政府では今年度の見通しを0.9%と据え置いています。しかし、世界全体の経済を見た場合、IMFでは10月に2019年の成長率を下方修正しており、米中関係等がどのように進むか等を含め、先行き不透明感が高まっております
産業車両の国内生産額については、1~10月の累計で2.4%減少、主力機種のフォークリフトも3.2%減少となっております。しかし、これは台風19号の被害により一部で生産に影響が生じたことが要因としてあり、国内での物流現場での労働力不足への対応や、大型物流施設の増設等から需要は堅調に推移しておりますので、年度で見れば回復してくると見ております。
産業車両は、工場や物流センター、倉庫、港といった物流における結節空間において荷役・搬送に活用されておりますが、こうした現場では、先ほども述べたように、労働力不足に悩まされており、政府も「ホワイト物流」推進運動を主唱し、幅広い業界が呼応して取り組みを展開されております。多くの企業では、産業車両の活用により、ホワイト物流を実現していくとのアイデアが多く出されております。
私どもとしても、こうした社会からの要請にお応えして、産業車両の提供にとどまらない、物流の高度化に資するソシューションをお客様に提案できるよう、技術力や構想力を高めて、問題の解決を図っていくことが必要です。
こうした取り組みは従来から行ってまいりましたが、今後はさらに強化して、日本が目指すソサエティ5.0の実現にも貢献していかなければならないと考えます。
ここで協会の活動状況について、いくつかご紹介いたします。
私どもでは平成26年度に策定した「産業車両(フォークリフト)産業戦略」で掲げた、物流の効率化、安全向上、環境負荷の低減に貢献する、信頼性の高い製品、サービスによって、産業車両における“日本ブランド”を確立し、世界ナンバー1であり続けるとの目標の下、様々な事業を進めております。
物流の効率化というテーマでは、物流分野においても、ロボットやIoTを活用した自動化への流れが強く広くなっている中で、無人搬送車システムに対する関心や期待が高まっており、毎年納入件数が増加しております。私どもも、昨年8月に「無人搬送車システム導入ガイドブック」を作成・公表して、お客様に無人搬送車システムを正しくご理解いただくための情報提供に努めました。また政府に対して無人搬送車システム等に対する導入支援施策を要望し実現の見込みです。
また、過去数年に亘って世界初となる無人搬送車システムのISO安全規格の制定審議に参加してまいりましたが、ようやく発行が目前となるに至りました。それに引き続き国内でもJIS規格の改正原案の作成に着手して、その健全な発展と普及促進に貢献してまいります。
次に安全向上という視点では、かねてより準備を進めてまいりました「フォークリフト安全の日」を、今年の7月3日に開催いたします。今後は、女性や高齢者、さらには外国人労働者といった、非熟練オペレーターによるフォークリフトの操作が行われることも増えると見込まれますので、ここであらためて安全な作業の徹底を強く訴えてまいりたいと思います。
次に環境負荷の低減に関しましては、平成28年秋に市場投入された燃料電池式フォークリフトの普及促進に向け、規制の見直しや安全規格の制定に取り組み、実現に至りつつあります。政府の目指す水素社会の実現に向け、国のご支援やご指導もいただきながら、いっそうの取り組み強化に努めてまいります。
また、国際交流事業につきましては、毎年、欧州、アメリカそして中国の産業車両関係団体との協力の下、アライアンス業界首脳会議を持ち回りで開催しておりますが、昨年は9月にアメリカのサンディエゴで22回目の会議が開催されました。そして今年は4年ぶりに日本がホストを務めて、10月に京都で第23回会議を開催する準備を進めております。
昨年は自由貿易を支持していくことをあらためて確認するとともに、先ほど紹介した「フォークリフト安全の日」について、各国でも開催していくこととしました。こうしたテーマは、国境を超えた業界としての共通課題と考えられますので、国際的な連携・協調をしっかり進めてまいります。
以上、私ども協会の活動の一環をご紹介させていただきました。
最後になりますが、今年は2月に国際物流総合展イノベーション・エキスポが開催され、来年1月には国際物流総合展が約2年ぶりに開催されます。物流を取り巻く課題解決のみならず、日本の物流をさらに発展させるための、新たな製品、サービス、ソリューションを広く紹介してまいりますので、ぜひご期待下さい。
物流の世界でも、AIやIoT、ロボット等の新技術が加速的に導入・活用され、大きな変化の時代を迎えておりますので、産業車両業界としましても、製品の単なる提供にとどまらず、ソリューションの提案による課題解決へという業界のミッションの再定義化も図りながら、物流の発展に貢献してまいりたいと考えております。会員の皆様のご協力ご支援をよろしくお願い申し上げます。
そして経済産業省、国土交通省、環境省、厚生労働省をはじめとする関係御当局におかれましても、協会の活動に関しまして、より一層のご指導ご支援を賜わりますよう、お願い申し上げます。
本年が皆様にとって素晴らしい1年となりますよう心より祈念して、年頭のご挨拶とさせて頂きます。