・日機連が2019年度機械工業生産額(改訂)見通し調査を発表
日本機械工業連合会(日機連)が12月18日に発表した2019年度機械工業生産額(改訂:調査時点2019年11月)見通し調査によると、2019年度の機械工業生産額は全体では前年度比0.7%減の75兆9,150億円となる見通しである。当初見通しでは、2019年度は前年度比0.7%増だったが、今回の改訂見通しでは0.7%減となり、また、金額ベースでも4,118億円余の下方修正となった。業種としては、情報通信機械、輸送機械が増加を見込むものの、一般機械、電気機械、電子部品・デバイス、精密機械、金属製品、鋳鍛造品といった多くの業種で減少を見込んでいる。
■2019年度の機械工業生産額
2019年度の機械工業生産は概ね底堅い回復を続けているものの、景気全般に先行き不透明感があり、輸出を中心にやや弱含んでいる。
国内では深刻な人手不足を背景に省力化・自動化ニーズが設備投資を下支えし、交通・物流等の社会インフラ整備、五輪関連工事等の投資が拡大している。
一方、海外では米国の景気が着実に回復しているものの、欧州ユーロ圏では景気の回復は弱く、中国は緩やかな減速が続いている。今後、国内では、消費税増税の影響、海外では、米中の貿易問題の行方や中国景気の動向、イラン等を巡る中東情勢の緊迫化、Brexitの動向等の下振れリスクを注視していく必要がある。
こうした中、2019年度の機械工業生産額は全体では前年度比0.7%減の75兆9,150億円となる見通しである。
■一般機械の2019年度生産動向(機種別)
一般機械の生産額は、前年度比(以下同様)2.0%減の16兆223億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。
ボイラー・原動機は、ボイラー・タービンが石炭火力向けは引き続き厳しく、国内がバイオマス発電、輸出は天然ガス向けに期待、はん用内燃機関はガソリン機関が減少するものの、ディーゼル機関、ガス機関は増加を見込み、ボイラー・原動機全体で1.4%増。
土木建設機械は、高水準の生産が続き、国内が五輪関連需要の縮小が見込まれるものの、安定した建設投資の継続が見込まれ微増、輸出は引き続き北米、欧州向けが堅調に推移すると見込まれ、0.8%増。
印刷・製本・紙工機械は、国内外共に物流に関連した設備の需要には期待できるものの、IT化の進展等による印刷物の総量減少等の影響が見込まれ、7.0%減。
油空圧機器は、引き続き比較的高水準の生産が続くものの、油圧機器が土木建設機械向けの輸出が減少、空気圧機器は、国内外共に半導体関連の投資先送り等による減少が見込まれ、全体で2.0%減。
ロボットは、引き続き人手不足等による産業用ロボットへの関心の高まりにより、国内が底堅く推移しているものの、輸出は中国、欧米向けが低調で、3.5%減。
動力伝導装置は、変速機が横ばい、歯車は国内外共に減少、スチールチェーンは国内が搬送用で堅調なものの、輸出は中国、東南アジア向けの減少が見込まれ、全体で0.9%減。
農業用機械器具は、国内が経営効率化の進展により堅調、輸出は米国向けがコンパクトサイズで伸びが見込まれ、全体で4.0%増。
金属工作機械は、国内外共に自動化のニーズは高いものの、米中貿易摩擦の激化やBrexit問題等により、設備投資が慎重になっており、9.6%減。
第二次金属加工機械は、機械プレスの大幅な減少が見込まれ、22.5%減。繊維機械は、準備機械、織機、編組機械の減少が見込まれ、全体で16.9%減。
食料品加工機械は、製パン・製菓、水産加工業界向け等で微減が見込まれ、全体で0.5%減。
包装機械・荷造機械は、国内が食品、化粧品向けで伸びが見込まれ、3.0%増。
木材加工機械は、合板機械、製材機械の伸びが見込まれ、1.1%増。
事務用機械は、海外での現地生産が進み、国内生産は縮小傾向にあるものの、大幅減だった前年度からの回復を見込み、6.5%増。
ミシンは、工業用ミシンがアジア向けで減速、家庭用ミシンは新規機種も海外生産への移行が進んでおり、全体で5.0%減。
冷凍機・同応用装置は、冷凍機、冷凍機応用製品等の高水準の生産が続いており、前年度に過去最高だったエアコンディショナが学校空調の需要等により更に伸びると見込み、全体で6.8%増。
半導体製造装置及びFPD製造装置は、高水準だった前年度の反動減や、半導体製造装置がメモリーの製品価格下落による需要減、FPD製造装置はパネル価格下落による需要減により、9.1%減少の見通しである。
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