なお、日本向け売上高は、2001 年3月期の中間決算開始以降、第2四半期累計期間として過去最高となり、総売上高は、4年ぶりに1,000 億円超えとなった。
売上は増加したが、コストアップや製品構成の変化により売上原価率は悪化、また成長に向けた前向き投資もあり販売費及び一般管理費は増加した。結果、営業利益は75 億7千3百万円(前年同期比131.9%)、経常利益は72 億6千2百万円(前年同期比128.0%)となった。特別利益として4億8千7百万円の負ののれん発生益を計上したため、親会社株主に帰属する四半期純利益は50億6千4百万円(前年同期比124.1%)となった。
■経営成績に関する説明
4~9月における国内経済は、輸出弱含みの中、個人消費は持ち直し、設備投資は堅調を維持、景気は緩やかに回復した。米国経済は回復持続、欧州経済は一部に弱い動き、中国経済に減速が見られた。一方で、米中貿易戦争、英国EU 離脱問題、点在する地政学的リスク等もあり、極めて不透明な状況が続いている。
日本では、東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要や復旧復興・防災減災・インフラ老朽化対策・民間建設投資等により稼働が堅調に推移し、需要は増加した。海外では、中東を除き、需要は回復基調が続いた。
タダノは今年2月、米国Terex 社と、同社が所有するDemag ブランドのクレーン事業(本拠地ドイツ)の株式取得等に関する契約を締結し、7月31 日をもって、買収を完了した。同事業の買収により、オールテレーンクレーン事業の更なる拡充を図り、新たにクローラクレーンをタダノグループの製品ラインナップに加え、幅広い顧客ニーズに対応することが可能になる。
なお、昨年1月19 日に公表した米国排ガス規制の緩和措置に関する自己申告については、現在、米国当局(環境保護庁・司法省)との協議が進行中。協議の終了時期は見通せていないが、今後、開示が必要な事由が判明次第、適時適切に対応する。現在は、最も厳しい規制に適合するエンジンを搭載した建設用クレーンのみを販売しており、北米での販売に影響は出ていないとしている。
■セグメント別の状況(タダノ及び連結対象子会社の所在地別の売上高・営業利益で仕向地別売上高とは異なる)
1)日本
2)欧州
建設用クレーン売上は欧州域外が増加し、売上高は217 億7千8百万円(前年同期比110.7%)、新モデル移行や品質対応に伴うコスト増により、営業損失は10 億6百万円(前年同期は3億5千1百万円の営業損失)となった。
3)米州
建設用クレーンの需要が増加する中、拡販に注力し、売上高は215 億2千3百万円(前年同期比139.3%)、営業利益は10 億3千6百万円(前年同期は6千3百万円の営業利益)となった。
4)その他
建設用クレーン需要が増加し、売上高は81 億5千万円(前年同期比113.9%)となったが、インド子会社Tadano Escorts India の立ち上げもあり、営業利益は2億1千9百万円(同80.1%)となった。
■主要品目別の状況
1)建設用クレーン
海外向け売上は、欧州向けを除き、すべての地域で増加し、392 億1千4百万円(同128.2%)となった。
この結果、建設用クレーンの売上高は641 億9千9百万円(同132.3%)となった。
2)車両搭載型クレーン
日本向け売上は、安全装置法制化と小型トラックの排ガス規制による駆け込み需要により、104億1千1百万円(前年同期比118.3%)となった。
海外向け売上は、東南アジア・中東向けの拡販に注力し、8億5千3百万円(同106.2%)となった。
この結果、車両搭載型クレーンの売上高は112 億6千5百万円(同117.3%)となった。
3)高所作業車
小型トラックの排ガス規制による駆け込み需要の中、インフラ点検補修用途及び通信業界向け機種の売上が減少、レンタル業界向けの売上が増加し、高所作業車の売上高は、95 億7百万円(前年同期比103.3%)となった。
4)その他
部品、修理、中古車等のその他の売上高は、153 億3千2百万円(前年同期比102.6%)となった。
■2020年3月期の見通し
Demag 事業について、2019 年8月から12 月までの5カ月間の業績予想及び取得時ののれん、統合費用やその他の金融費用を取り込むとともに、欧州事業で発生する品質対応費用等の影響を考慮し2019 年4月26 日発表の2020 年3月期通期業績予想を次のとおり変更した。
売上高2,280億円(前回予想:2,000億円)、営業利益100億円(同:175億円)、経常利益100億円(同:175億円)、親会社株主に帰属する当期純利益50億円(同:120億円)となる見通し。
なお10月以降の為替レートは、108 円/米ドル、120 円/ユーロを前提としている。