■部門別の概況
[建設機械・車両]
建設機械・車両部門の売上高は1兆1,116億円(前年同期比7.4%減)、セグメント利益は1,298億円(同29.4%減)となった。
中期経営計画の成長戦略3本柱の1つであるイノベーションによる価値創造において無人ダンプトラック運行システム(AHS)を重点項目の1つに掲げ、AHSを後付け可能な超大型ダンプトラック最新モデル930E-5の西豪州ピルバラ地区への41台導入に向けて取り組んだ。また、豪州イマーシブ社の買収により、鉱山機械向けシミュレータを活用した新たなトレーニングソリューションをラインナップに組み込んだ。
さらに、2015年2月にスタートした建設現場向けソリューション事業「スマートコンストラクション」を確実に推進し、これまでに国内で8,700を超える現場に導入した。海外では、米国やドイツなどでパイロット導入し、本格導入に向けて活動を進めている。
成長戦略3本柱の1つである事業改革による成長戦略の重点項目であるアフリカなどの成長市場への取り組みとして、今年8月に開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の「日本・アフリカビジネスフォーラム&EXPO」に出展した。また、昨年度開設した「ドバイトレーニング&デモンストレーションセンタ」において、アフリカ地域の代理店の人材育成を行うなど代理店力強化に向けた活動に取り組んだ。
■地域別の概況
<日 本> 日本では、2017年9月に施行された新排出ガス規制に伴う駆け込み需要の反動減からの回復やインフラ関連工事需要の堅調さに加え、消費税増税前の駆け込み需要もあり、売上げは前年同期を上回った。
<米 州> 北米では、一般建機・鉱山機械ともに需要が引き続き堅調だったものの、代理店在庫の調整を進めたことから、売上げは前年同期並み。中南米では、一般建機の需要は、ブラジルにおいて堅調に推移したものの、経済情勢悪化が続くアルゼンチンやメキシコで減少したことから、売上げは前年同期を下回った。
<欧州・CIS> 欧州では、主要市場であるドイツ、フランスなどでの需要が堅調であり、売上げは前年同期を上回った。
CISでは、鉱山機械の需要は、石炭向けが減少したものの、石油・ガス向けは堅調に推移し、一般建機の部品・サービスの売上げを着実に取り込んだことなどにより、売上げは前年同期を上回った。
<中 国> 中国では、米中貿易摩擦が長期化し、国内経済の不透明感が強まっていることに加え、国産メーカー比率の上昇により売上げは前年同期を下回った。
<アジア・オセアニア> アジアでは、燃料炭価格の低迷に伴い、最大市場であるインドネシアでの鉱山機械の需要が減少したことに加え、選挙のあったインドネシア、タイ、フィリピン、インドで一般建機の需要が低調に推移したことにより、売上げは前年同期を下回った。
オセアニアでは、鉱山機械の部品・サービス売上げを着実に取り込んだものの、本体売上げが減少したことなどにより、売上げは前年同期を下回った。
<中近東・アフリカ> 中近東では、イエメンの内戦に伴う各国政府の緊縮財政の影響が続いていることに加え、トルコの通貨安の影響などもあり、売上げは前年同期を下回った。
アフリカでは、南部アフリカ地域では鉱山機械の需要が堅調であったものの、その他地域の需要は低調に推移したことなどにより、売上げは前年同期を下回った。
[リテールファイナンス]
リテールファイナンス部門では、北米での資産増加効果などに伴い、売上高は347億円(前年同期比18.2%増)となった。セグメント利益は、前年同期の中国での債権回収に関する引当金戻し益がなくなったこともあり、68億円(同28.9%減)となった。
[産業機械他]
産業機械他部門では、自動車業界向けの鍛圧機械及び工作機械の販売が減少したことに加え、半導体市場向けエキシマレーザー関連製品の販売減少もあり、売上高は737億円(前年同期比24.0%減)、セグメント利益は40億円(同46.2%減)となった。
コマツ産機㈱では、本年7月に開催された「MF-TOKYO2019」(第6回プレス・板金・フォーミング展)において、「未来の“GEMBA”を提案」をテーマに、高剛性サーボプレス「H2FM630-1」などに加えて、次世代プラットフォーム「KOM-MICS」を出展し、中期経営計画の重点項目の1つとして、顧客の現場の生産性向上や機械の予知保全に貢献する取り組みを紹介した。
■2020年3月期の見通し
上期は、中国やインドネシアを中心とした戦略市場で需要が想定より減速し、下期も米中貿易摩擦などの外部環境は依然不透明であることから需要は想定より弱含むことが予想される。
2020年3月期通期の連結業績は、売上高2兆4,720億円(前回予想:2兆6,170億円)、営業利益2,790億円(同:3,370億円)、税引前当期利益2,570億円(同:3,170億円)、株主に帰属する当期利益1,800億円(同:2,150億円)と修正した。
また、業績予想の前提となる為替レートの見直し(下期平均の為替レートを1米ドル=100円、1ユーロ=111円、1人民元=14.0円に変更)により、4月26日に公表した連結業績予想について、売上高および利益を修正した。
通期平均の為替レートは、1米ドル=104.5円、1ユーロ=116.3円、1人民元=14.9円となる。(前回見通し1米ドル=105円、1ユーロ=119円、1人民元=15.6円)