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オークマ、2019年4~9月期売上は11%減の893.5億円、通期は1,700億円に修正

 オークマが10月30日に発表した2020年3月期第2四半期(4~9月)連結業績によると、受注高は75,033百万円(前年同期比33.4%減)、売上高は89,352百万円(同11.0%減)、営業利益は9,187百万円(同24.9%減)、経常利益は9,484百万円(同比27.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,141百万円(同23.1%減)となった。

 オークマ2020年3月期第2四半期データ

■経営成績に関する説明

 4~9月期における世界経済は、激化する米中貿易戦争の影響を受け、景気の減速感が一段と強まる展開となった。米国経済は、製造業の景況感に低下が見られるなど米中貿易戦争の影響により景気が低迷した。欧州経済はドイツ経済の不振により景気が低迷し、成長の鈍化が続いた。中国経済は、景気対策により大幅な落ち込みは回避するも、減速傾向で推移した。わが国経済は、海外経済の減速や世界的な半導体需要の減退による輸出の低迷を受け、景気に足踏み感が見られ、製造業においては調整局面が続いた。

 工作機械の需要は、米国市場では、米中貿易戦争の先行き不透明感の高まりを受け、設備投資の先送りが顕著となった。欧州市場では、輸出の低迷やドイツ経済の減速が影響し、工作機械の需要は低調に推移した。中国市場では、一時期持ち直しの動きが期待されたが、米中貿易交渉の進展が見られず、工作機械の需要低迷が続いた。

 国内市場は、労働力不足等への対応から、設備投資マインドは見られ、積極的な投資をする動きはあるものの、輸出の減少や米中貿易戦争の先行きを警戒し、設備投資を先送りする動きが見られた。

■4~9月期における取り組み

 このような経営環境の下、当企業グループはAI・知能化技術を搭載したスマートマシンの提供や、生産性向上に寄与するスマートマニュファクチャリング技術・製品の提案を進め、受注・売上・利益の拡大に努めた。

 営業戦略においては中国国際工作機械展覧会「CIMT2019」(北京、2019年4月開催)や欧州国際工作機械見本市「EMO2019」(ドイツ・ハノーバー、2019年9月開催)等、世界的な国際見本市をはじめ、各地の地方展示会にも積極的に出展し、オークマブランドの浸透と拡販に努めた。「EMO2019」では、工作機械と同じ操作感で使用でき、複雑なティーチングが不要な次世代ロボットシステム「ARMROID」と簡単ロボットセル「STANDROID」を出品し、グローバルに根強い生産性向上のニーズに対し、自動化・無人化の新たな在り方をアピールした。また、主要市場であるドイツにおける技術動向、ユーザーニーズに的確に応えるため、現地販売代理店をオークマヨーロッパGmbHの販売子会社とし、営業強化も図った。

 技術戦略では、次世代ロボットシステム「ARMROID」の適用機種の拡大や、生産性向上に向けニーズが高まる5軸制御マシニングセンタ、複合加工機や自動化技術の開発強化を図った。「ARMROID」は、工作機械の加工室内に多関節ロボットを干渉なくビルトインしたロボットシステムであり、部品加工の自動化と生産性向上を図る革新的なロボットシステムとして、日刊工業新聞社主催の「2018年(第61回)十大新製品賞本賞」に続き、「日刊工業新聞社第49回機械工業デザイン賞最優秀賞(経済産業大臣賞)」、「2019年度(第39回)精密工学会技術賞」を受賞した。

 製造戦略では、2019年5月に最新鋭のスマートファクトリーDS3(Dream Site 3)が竣工し、立形・横形マシニングセンタの自己完結一貫生産、超高効率生産をスタートさせた。また、新生産管理システム、新物流管理システムを全工場の各部品へ適用し、生産効率の向上、リードタイムの短縮を推し進めた。

 海外では、中国市場で拡大するプレミアム・エコ「GENOSシリーズ」の需要に対応するため、江蘇省常州市に生産子会社「大隈(常州)机床有限公司」を設立した。これにより、「GENOSシリーズ」の短納期対応、エンジニアリング力強化を図っていく。

■2020年3月期の見通し

 今後の世界経済の見通しについては、長期化する米中貿易戦争の先行き不透明感や、BREXITや中東情勢などの政治リスクが、引き続き下押し圧力になり、しばらくは、景気は弱い動きで推移するものと思われる。一方で、工作機械需要は、中長期的には構造的な労働力不足への対応として、自動化、無人化への投資はグローバルに根強く、今後とも底堅く推移し、先行き懸念が後退すれば、いずれ潜在需要は発現すると見込まれる。

 さらに、デジタル分野では、AIや5G等、新技術対応に向けた設備投資が見込まれ、自動車分野では電動化等、環境対応への開発投資が期待される。

 オークマグループは自動化技術・知能化技術を強化し、大規模工場のみならず、中小規模工場にも拡がる自動化・無人化の需要に幅広く応えていく。

 当面の工作機械の需要動向については、米国市場では、米中貿易交渉の行方や制裁措置によっては設備投資に対する姿勢が更に慎重となり、更なる需要減少への警戒が必要と思われる。中国市場では、政策効果により需要の底入れが期待されますが、反転する力は弱い展開が続き、また欧州市場では、米中の景気動向の影響を受け、当面は低調に推移すると思われる。

 国内市場では、激化する米中貿易戦争を背景とした輸出の低迷等により、設備投資意欲は底堅いものの、暫くは先送りする動きが見られると思われる。

 このような経営環境の下、オークマグループは、世界の生産性向上を図る技術・製品・サービスの提供により、最高の「ものづくりサービス企業」を目指していく。労働力不足が世界の製造業の課題となる中、高まる自動化・無人化、生産性向上に対するニーズに世界を先導して応えていく。

 2020年3月期の連結業績予想については、売上高1,700億円(前回予想:2,010億円)、営業利益162億円(同:240億円)、経常利益170億円(同:245億円)、親会社株主に帰属する当期純利益110億円(同:163億円)と修正した。

 オークマの2020年3月期第2四半期決算短信

 第2四半期参考資料

 

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