鋒龍股份(浙江鋒龍電気股份有限公司、Zhejiang Fenglong Electric Co., Ltd.以下、鋒龍股份)は、最近、51%の株式を保有する持株子会社である杜商精機(嘉興)有限公司(以下、杜商精機)に増資を行う計画であると発表した。増資額は、鋒龍股份が現有の持株比率から765 万米ドル、残りの株主は735 万米ドルで、合計増資額は1,500 万米ドルである。
現地メディア情報と参考資料(約2,700字)
鋒龍股份董事⾧の董劍剛は、「会社は、ハイエンド製造業への構造転換とグレードアップ及びイノベーションの発展を速めようとしている、杜商精機は、まさにその重要な一歩であり、将来会社の業績の半分を担うことが期待されている」と述べている。
■資金力と経営能力を向上させる
鋒龍股份は、8 月末の増資は主に杜商精機の新工場建屋の建設と油圧バルブ用コンポーネント(中:零組件、零部件)製品等の新しいプロジェクトの推進に用いられ、杜商精機の資金力と経営能力をさらに向上させ、同社の油圧バルブ用コンポーネントの生産能力を拡大し、顧客である建設機械用油圧コンポーネントの需要を満たしたいと表明している。
注目すべきは、プロジェクトの建設予定地は嘉善県姚荘経済開発区に位置し、上海から至近の距離にあり、立地の優位性は明らかで、同社と子会社が力を蓄えて⾧江デルタ地域一体化の統合に積極的に参入する、戦略的橋頭堡としても機能することである。
公開資料によると、杜商精機は、建設機械用コンポーネント及び自動車用コンポーネントの研究開発、生産と販売に取り組んでおり、専門的かつ有能な技術開発、生産管理とマーケディングチームを擁している、製品は、主に比例式電磁弁、開閉弁、リリーフ弁、チェック弁、バルブユニット控制システム等を含めた、各種精密油圧バルブコンポーネント、油圧ポンプと油圧モータ等で、国内では数少ない世界一流の精密油圧バルブコンポーネントを提供する能力を備えた企業の1 社であり、主に、Caterpillar(中:卡特彼勒)、Bosch Rexroth(中:博世力士楽)、Linde(中:林徳)、Parker(中:派克)等の建設機械の世界トップクラス企業に製品を供給しており、同分野の製品の輸入代替を実現している。
事前の発表によると、鋒龍股份は、現金方式で杜商精機の51%の株式を買収している、買収価格は1,096.5 万米ドルである。同時に署名した「利益補償合意書」では、杜商精機と杜羅傑(杜商精機董事⾧)は、杜商精機の2019 年~2021 年度の純利益がそれぞれ1,110 万元、1,350 万元、1,500 万元を下回らないことを約束している。
杜羅傑は、30 数年の発展を経て、杜商精機は現在、技術、設計方面においてはすでに世界一流のレベルにあり、同社は今後の年間業績の伸び率は30%を下回らないと予想していると述べている。
■ハイエンド製造業の構造転換とグレードアップを加速する
鋒龍股份は、主に園芸機械用コンポーネント及び自動車用コンポーネントの研究開発、生産と販売に従事しており、主な製品はイグナイター(中:点火器)、フライホイール、空圧シリンダ等を含めた、園芸機械用主要部品と様々な仕様の自動車用精密アルミダイカスト部品で、幅広く草刈り機、チエーンソー、等の園芸機械の端末製品として、及び自動車のトランスミッション、ブレーキ、温度制御システムと新エネルギー自動車分野に用いられている。
2019 年上半期、同社は1.74 億元の売上高を達成し、親会社に帰属する純利益は3,009.47万元、前年同期比の伸び率は、それぞれ12.49%と48.66%である。
董劍剛は、持ち株会社である杜商精機を通して、同社は、在来の園芸機械用コンポーネント及び自動車用コンポーネント業務を基礎に、似かよった技術と生産プロセスの下での産業拡張を実現し、油圧コンポーネント分野の業務を開拓し、産業の配置をさらに整えて、製品をより充実させて行くと述べ、また、杜商精機は、特に油圧コンポーネントの精度と品質においては、数十年の経験を持ち、研究開発と技術的優位を具えていると述べている。
董劍剛は、同社はハイエンド製造業の発展動向に追随し、ハイエンドコンポーネント製造の発展を重点としており、持ち株会社の杜商精機を通して、ハイエンド製造企業の構造転換とグレードアップ及びイノベーション発展を加速させて、杜商精機の油圧バルブユニット装置の研究開発、製造と高精度加工の優位を発揮させ、上場会社の良好な資金調達プラットホームを利用して、同社の構造転換とグレードアップの歩調を加速させると述べている。
また同氏は、ハイエンドコンポーネント製造分野においては絶えず深耕し、同社製品の設計、研究開発、製造とシステム統合能力より強化し、同社のプロジェクト開発能力と顧客ニーズを満たす能力を向上させ、同社のために発展する新空間を探し、実質的構造転換とグレードアップの基礎を実現させる。同時に、杜商精機でも資金、プラットホーム、人材等において各方面の支援を得て、企業競争力を全面的に強化して、油圧バルブなどの油圧コンポーネント市場においてさらに大きな発展を獲得して、鋒龍股份の優位との相互補完を実現したいと述べている。
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■参考:浙江鋒龍電気股份有限公司(略称:鋒龍股份)
設立は2003 年、登録資本:8,888 万元、深圳証券取引所中小企業ボードに上場。
株式上場番号:002931、証券略称:鋒龍股份。
傘下に、浙江昊龍電気有限公司、紹興杜商毅誠電機有限公司、鋒龍電機香港有限公司の三つの子会社を持ち、主に園芸機械用コンポーネント及び自動車用コンポーネントの研究開発、生産と販売に従事している企業である。
杜商精機(嘉興)有限公司(略称:杜商精機、法人代表は杜羅傑、中国系米国人)
米中合弁会社として2010 年に設立(登記住所は浙江省嘉興市)。
主な営業範囲は、民用飛行機部品、自動車用部品、油圧バルブ、圧力21-31.5MPa の一体型マルチウェイバルブ、ポンプ、モータ、ギヤボックスの製造、販売。
同社の親会社である杜商股份有限公司は、1987 年に設立、本社は米国シカゴにあり、自動車向けに電動モータ、油圧バルブ/ポンプ、オフィスオートメーション化用歯車等のOEM 製品を提供している。数年前から、グローバル市場に対して、欧米、日本のユーザーと⾧期の協力関係を結び、OEM 製品を提供している。
杜商精機は、日本の㈱MORI (本社:新潟県阿賀野市)の中国合弁会社である「蘇州摩利自動化制御技術有限公司」の中国協力企業の1 社でもある。
同合弁会社の主な取引先には、江蘇恒立液圧科技有限公司(Hengli)/上海納博特斯克液圧有限公司(Nabtesco)/凱邇必液圧工業(KYB)/三一重工有限公司(SANY)/川崎精密機械(蘇州)有限公司(KPM)等がある。