日本冶金工業(本社:東京都中央区)は9月25日、川崎製造所(神奈川県川崎市)への戦略投資の一環として、製鋼工場に高効率電気炉設備の導入を決定したと発表した。約130億円を投資し、70t交流電気炉、並びに付帯設備の新設、建屋拡張(大型クレーン新設)に充てる。2022 年1 月に稼働する予定。
日本冶金工業は、国内外において競争力のあるステンレス特殊鋼メーカーとしての一層の事業基盤強化を目指して、現中期経営計画(2017~2019 年度)で「製造プロセス革新と川崎製造所リフレッシュ」を掲げ、その実現に向けた戦略的設備投資を計画してきた。
川崎製造所は、日本冶金工業が強みとする高機能材製品の供給基地として、品質・納期・コスト全般にかかるプロセス革新を実行していくとともに、コンパクトで環境に配慮した都市型製造所への進化を目指している。
高機能材製品は、ニッケルを20%以上含有する高ニッケル合金のフラット製品。今回の案件は、昨年度川崎製造所で実施した試験研究施設の一部と福利厚生施設を複合させた「複合棟」新設に続くもので、次世代に向けて最新の設備技術の導入と日本冶金工業の長年培われてきた操業技術を組み合わせたベストミックスの生産体制構築を企図している。
なお、引き続き戦略的設備投資の検討を行い、川崎製造所のリフレッシュ・生産体制の整備拡充を順次進めていく。
1.目的
(1) フレキシブルな生産体制の確立
今回導入する高効率電気炉の設備機能を活用することで、日本冶金工業の戦略商品である高機能材溶解と一般材溶解の生産プロセスの整流化を実現し、顧客の多様なニーズに迅速に対応すべくよりチャンスフリーでの生産対応が可能になる。
(2) 徹底した省エネルギーを実現
電力価格や資材価格の上昇に備え、従来の電気炉2 基操業から最新鋭の技術を装備(注1)した高効率電気炉1 基操業に転換することで、エネルギー効率を高めて省エネルギー化による大幅なコスト削減につなげていく。
注1)炉体旋回装置:スクラップの不均一な溶解を解消し効率の高い操業を実施
電磁攪拌装置:炉内の均一攪拌により溶解スピードアップと温度・成分の均一化を実施(炉体旋回装置と電磁攪拌装置の2つを兼ね備えた先進的な設備となる)
(3) 環境配慮と作業環境の改善・省力化
密閉した設備内での集塵(注2)により、防音・防塵化を図り、従来の集塵設備での対応に比べより一層環境に配慮した設備となります。また電気炉の炉体レンガの交換作業をオフライン化(注3)し、メンテナンスのチャンスフリー化と暑熱作業の軽減等の作業環境改善を図る。さらに電気炉の操業に必要な付帯作業の自動化設備を導入し、作業負荷の軽減と省力化を実現する。
注2)ドグハウス:工場建屋内でさらに、電気炉と付帯装置を囲い局所集塵を実施
注3)炉体交換方式:これまで長期定修時に炉本体に据え付けたまま行っていた炉体レンガ交換作業を炉体ごと入れ換えることによって、オフラインでのバッチ作業化を可能とするもの
<設備投資の概要>
投資内容:70t交流電気炉、並びに付帯設備の新設、建屋拡張(大型クレーン新設)
総投資額:約130 億円
※エネルギー使用合理化等事業者支援事業として一部補助金を充当する予定。
稼動開始:2022 年1 月予定