PJSC ACRONはロシア有数の肥料製造販売企業であり、国内販売だけではなく世界各地に肥料及び肥料原料となる化学製品の輸出を行っている。現在、同社のVeliky Novgorod工場ではアンモニアを製造する際に自然発生した大量の二酸化炭素が大気中に排出されているが、今後はこの二酸化炭素を回収して同じ工場内にある尿素プラントに移送し、圧縮して再利用することで尿素の生産能力を増強して肥料原料の自給率を上げることが計画されている。この案件は尿素増産に必要な主要機器である遠心圧縮機及びモーター等付帯設備を日立キャピタルが5年間の長期延払条件で輸出するもの。
日本から輸出される圧縮機は、2016年にVeliky Novgorod工場を立ち上げた際にも機械納入の実績がある㈱日立インダストリアルプロダクツの製品(画像)。今回は同社製品の品質の高さや納期の確実性に対する信頼感に加えて、長期延払条件であることが評価され、輸出が実現した。
延払決済は輸出者によるファイナンスアレンジと言え、比較的少額案件で購入代金を銀行借入により調達することが事務負担その他の理由で難しい海外の輸入者にとっては重要な資金調達方法となる。我が国の輸出者が延払による輸出を積極的に行えるように支援するため、NEXIは2017年4月1日、2年以上の延払案件であっても貿易一般保険の引受を再開することを公表した。今回の案件は、引受再開を公表して以降、初めてロシア向けに引受を行う長期延払案件になる。