・他社納入の耐圧部を全面更新、同国内のサービス事業拡大へ
・ 6月設立の現地サービス新会社を通じて、迅速・円滑に施工
・ 現地でのボイラー製造機能も活用し、競争優位の市場をさらに深耕
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は9月5日、グループ会社であるフィリピンのMHPS (Philippines) Plant Services Corporation(MHPS-PSC)を通じて、同国レイテ島にあるPASAR銅製錬所(Philippine Associated Smelting and Refining Corporation:フィリピン連合製・精錬社 )の廃熱回収ボイラー改修工事を受注したと発表した。1993年から稼働している他社製ボイラーの耐圧部を全面更新するもの。
PASAR銅製錬所は、1980年代にフィリピンの中心産業である銅製錬業を担う国営企業として開業。現在はスイスに本拠を構える鉱山開発・金属取引の多国籍企業であるグレンコア社(Glencore plc)の傘下にある。廃熱回収ボイラーは、銅製錬プロセスで発生する廃熱から蒸気を発生させるもので、製錬プロセスで大部分を循環利用するとともに自家発電にも活用する設備の中核機器。
PASAR側からは、これまでMHPSグループが築いてきた製品および工事品質への信頼、および現地のボイラー製造工場やサービス・エンジニア拠点機能を活かした地域密着によるトータルソリューションサービスについて、高い評価を得ていた。こうした良好な関係から、今回の改修工事を受注するに至ったもの。
MHPSは、これまでフィリピン市場において火力発電設備に加えて地熱発電設備も多数受注・納入。同国の経済成長に伴う電力需要の増加を背景に、設備の近代化や能力増強の需要およびアフターサービスのニーズが高まっていた。この状況を踏まえ、同国におけるサービス事業をさらに拡大するための新会社MHPS-PSCを、現地法人のMHPS (Philippines) Inc.(MHPS-PHL)を通じて今年6月22日に設立した。
MHPS-PSCは、ボイラー製造工場であるMHPS-PHLと協調しながら、東南アジア市場でのシェアアップを目指している。今回の案件は、自社製品以外の全面更新を本格的に手掛けるという点で、同国におけるMHPSの新体制が挑む事業領域拡大への試金石ともいえ、MHPSは両グループ会社と緊密に連携しながらその事業活動を全面支援していく。
MHPSは、高効率の大容量発電システムから中小型ガスタービンを活用した省エネシステム、地熱発電までフルレンジの製品群を擁しており、発電設備のトータルソリューションを提供できることが強み。今後も、今回の廃熱有効利用も含めた多様なニーズに的確に対応しながら、電力の安定供給と環境負荷の低減、ひいては各国の産業発展に貢献していく。