JFEケミカルは、主に日本市場にて電池材料(負極材)事業を展開しているが、かねてより中国における負極材事業の可能性を検討してきた。中国は電動自動車の普及を急速に進め、世界最大の市場となっており、その主要部材である負極材の大きな需要が期待できる。
今年3月の合弁意向書の締結以降、同プロジェクトの事業性を検討してきたが、JFEケミカル、宝武炭材および興和県天和炭化有限責任公司(以下、天和炭化)が出資参画し、各社の優位性を持ち寄ることで人造黒鉛負極材事業の発展をリードできるとの認識の下、中国内モンゴル自治区の烏海市における宝武炭材の炭素事業に隣接して負極材工場を建設し、製造、販売していくことを決定した。
烏海宝傑への出資比率は、JFEケミカル40%(約1.04億元=約15.2億円、8月26日レート※:1元=14.66円前提、以下同じ)、宝武炭材51%(約1.33億元=約19.5億円)、天和炭化9%(約0.23億元=約3.4億円)であり、宝武側から董事長・総経理、JFE側から副董事長・副総経理を派遣、就任した。8月26日、上海にて合弁契約書調印式を開催し、JFEケミカルから鈴木社長、宝武炭材から林董事長、天和炭化から張董事長、その他関係者を含め総計約20名が参加した。
今後、総額約5億元(=約73億円)を投資し工場建設を進め、年間生産能力1万tの設備を建設し、2020年後半には営業運転を開始する。合弁事業の強みは、第一に、合弁パートナーの宝武炭材が安定供給可能な原料ニードルコークス製造設備を保有していること、第二に、JFEケミカルが長年にわたって培ってきた負極材の開発・製造・品質管理ノウハウを生かすことができること、第三に、内モンゴルの安価な電力代と、宝武炭材ニードルコークス設備に隣接して負極材工場を設置し、黒鉛化設備も自社保有することにより競争力のあるコストで生産できることである。順次、顧客の承認を取得していき、中国の電動車向けリチウムイオン電池負極材の需要を確実に捕捉し、将来的には更なる増産を目指していく。
JFEケミカルは、今回の宝武炭材との合弁事業により、中国における日系・韓国系を含めた負極材市場への足掛かりを得ると同時に、ニードルコークスを原料とした人造黒鉛系負極材を製品ラインアップに加えることができ、ほぼ全種類の負極材が製造可能となる。
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