三菱重工グループの三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC、本社:横浜市西区)は8月20日、広島市から一般廃棄物焼却施設「広島市中工場」(広島市中区南吉島)の燃焼設備等改修工事を受注したと発表した。処理能力600トン/日のストーカ式焼却炉(注1)設備を改修し、長寿命化および省エネルギー化をはかる。受注額は58億4,000万円(税抜)、完成は2023年3月(4ヵ年継続事業)を予定している。
同施設は、三菱重工業の設計施工により2004年2月に完成したもので、燃焼設備は処理能力200トン/日の24時間連続燃焼式ストーカ炉3基および関連設備で構成されている。1万5,200kWの発電能力を備えており、工場内の各設備で消費する以外の余剰電力は売電している。
今回受注した燃焼設備等改修工事では、経年的に劣化した焼却施設の受入れ供給設備・燃焼設備・燃焼ガス冷却設備・通風設備・灰出し設備・計装設備などを対象に主要機器の更新等を行う。また、MHIECが特許を持つ安定燃焼に寄与する「新燃焼制御システム」を導入し、各種電動機に高効率モーターやインバータを採用することにより省エネ化をはかり、CO2排出量を年間9.6%程度削減することで地球温暖化抑制にも貢献する。
一般廃棄物焼却施設を長寿命化するとともに温暖化対策も施す改良工事は増加傾向にある。加えて、国が2010年度に関連する交付金支援制度(注2)を創設したことで、さらに活発化している。
MHIECは、三菱重工が長年培ってきた環境装置分野の技術開発力と国内外を含めた豊富な廃棄物処理施設の建設・運営ノウハウを2008年に継承。多数の実績に基づく、建設から運営まで含めた総合的ソリューション提案力を強みとしている。
MHIECは、今回の受注とこれまでの実績をベースに、既存廃棄物処理施設の省エネ化や安定稼働の維持・向上、さらに維持管理費などを含めたL.C.C.(ライフサイクルコスト)低減に向けた提案を積極的に推進し、受注拡大をはかっていく。
(注1)耐熱金属の角材を並べた床の上で、廃棄物などの焼却対象物を突き上げることで移動させながら燃焼させる焼却炉で、一般廃棄物焼却炉の主流。
(注2)環境省が所管する制度である、廃棄物処理施設の有効利用と廃棄物分野の温暖化対策に向けた設備の改良事業に基づき、一般廃棄物処理施設の長寿命化と温暖化対策を推進する市町村に対して、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(先進的設備導入推進事業)もしくは循環型社会形成推進交付金として事業費の1/2もしくは1/3が交付される。