■経営成績に関する説明
4~6月期における世界経済は、米中貿易戦争の先行き懸念などにより、景気の減速感が強まった。世界経済に大きな影響を及ぼす中国においても、金融引き締めにより経済成長が鈍化する中、米中貿易戦争の影響により景気の悪化が進んだ。国内経済も、こうした海外経済の減速により弱い動きとなった。
このような経営環境の下、オークマグループはAI・知能化技術を搭載したスマートマシンの提供や、生産性向上に寄与するスマートマニュファクチャリング技術・製品の提案を進め、受注・売上・収益の拡大に努めてきた。
■第1四半期の取り組み
技術戦略においては、生産性向上に貢献するスマートマシン、そして自動化技術の開発を推進してきた。高精度・高機能、工程集約でリードタイムを短縮する5軸制御マシニングセンタや複合加工機等のスマートマシンのラインアップ強化、工作機械をつなぎ、工場の稼働実績、加工状況を見える化し分析して、顧客の生産性向上を支援するIoTソリューション「Connect Plan」等の開発強化を図った。また、労働力不足により自動化、無人化の指向が高まる中、中小企業においても導入が容易な次世代ロボットシステム「ARMROID」のシリーズ化に向けた商品化開発に注力してきた。
製造戦略においては、2019年5月に可児工場において、最新鋭のスマートファクトリーDS3(Dream Site3)を竣工した。これまでのノウハウを積み上げたスマートファクトリーを可児工場に展開し、立形・横形マシニングセンタの自己完結一貫生産、超高効率生産を実現する。これまで課題だった部材や鋳物の調達問題の解消を図ると共に諸施策を展開し、生産効率の向上、生産力の強化、コストダウンを推し進める。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
今後の世界経済の見通しについては、米中貿易戦争等、海外情勢の先行き不透明感によって、景気の減速傾向が続くものと予想される。しかし、構造的な労働力不足への対応として、自動化・無人化の設備投資はグローバルに根強く、また競争力強化や成長分野への投資、次世代技術の研究開発投資に対する意欲は強く、工作機械市況は底堅く推移することが見込まれる。
米国市場では、米中貿易戦争の先行きを懸念し、設備投資に力強さは欠くものの、堅調な経済情勢を背景に、幅広い産業から工作機械の需要が見込まれる。中国市場では、景気対策の効果が発現し、工作機械の需要は緩やかな回復に向かうことが期待される。欧州市場では、中国経済の回復に伴い、市況は緩やかに持ち直すことが期待される。
国内市場では、力強さを欠く世界経済が設備投資に影響を及ぼすものの、自動化、無人化への投資、国際競争力強化への投資が牽引し、工作機械の需要は底堅く推移すると見込まれる。
このような経営環境の下、オークマグループは、生産性向上を図る技術・製品・サービスの提供により、最高の「ものづくりサービス企業」を目指していく。
営業戦略においては、中国、インド等に開設した新たな販売・サービス拠点を活用し、オークマブランドの浸透と顧客開拓を図り、潜在需要の大きいアジアにおける販売拡大に注力していく。また、国内、海外の展示会に積極的に参加し、統一されたブランドメッセージ「OPEN POSSIBILITIES」を展開して、オークマの強み「機電情知融合」が実現する顧客の付加価値向上を強力にアピールし、顧客基盤の拡大を図っていく。
技術戦略においては、独自のAI・知能化技術を搭載したスマートマシンの開発を更に進め、またIoT、AIを活用したスマートマニュファクチャリング技術の強化を図り、ものづくりサービスの提供を進めていく。次世代ロボットシステム「ARMROID」のシリーズ化を強力に進め、グローバルに広がる自動化・無人化の需要に幅広く応えていく。
製造戦略においては、スマートファクトリーDS3を迅速にフル稼働させ、可児工場における立形・横形マシニングセンタの自己完結一貫生産を実現する。本社のDS1、DS2と合わせて、新生産管理システム、新物流管理システムを全工場へ適用し、生産効率の向上、リードタイムの短縮を図る。海外では、台湾の生産子会社「大同大隈股份有限公司」において第2期の新工場建設に着手し、世界的に需要が高まっているプレミアム・エコ「GENOSシリーズ」のNC旋盤及び立形マシニングセンタの更なる生産能力の増強を図っていく。さらに、江蘇省常州市の生産子会社である「大隈(常州)机床有限公司」において「GENOSシリーズ」の短納期対応、価格競争力向上、エンジニアリング力強化を図り、中国市場で拡大する需要に対応していく。これらの取り組みにより、グループの成長戦略を推し進めていく。
■2020年3月期連結業績の見通し
2020年3月期の連結業績予想については、売上高2,010億円(前期比5.1%減)、営業利益240億円(同13.0%減)、経常利益245億円(同13.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益163億円(同12.0%減)と4月26日公表値を据え置いている。