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川崎重工、2020年3月期第1四半期売上は2%増の3,507億円、営業利益は86%減の10億円

 川崎重工業が7月30日に発表した2020年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、受注高は前年同期比317億円減少(8.8減)の3,282億円、連結売上高は前年同期比69億円増収(2.0%増)の3,507億円、営業利益は前年同期比60億円減益(85.9%減)の10億円、経常損益は前年同期比129億円悪化して43億円の損失、親会社株主に帰属する四半期純損益は前年同期比108億円悪化して82億円の損失となった。

■経営成績に関する説明

 世界経済は、全体としては緩やかな成長が継続する一方、米中貿易摩擦に起因する景気後退懸念が高まっている。今後の通商交渉次第では米中貿易摩擦がさらに激化する可能性があることに加え、英国のEUからの合意なき離脱の可能性も残っており、引き続き世界景気の下振れリスクには十分な注視が必要である。

 国内経済は、設備投資の緩やかな増加や企業収益の改善などの影響を受け、緩やかに回復している。今後も、総じて緩やかな成長が期待されるが、米国をはじめとする各国の経済政策などによる企業業績の悪化や為替相場の動向に対しては注視が必要である。

 このような経営環境の中で、4~6月期における連結受注高は、エネルギー・環境プラント事業を中心に減少となった。連結売上高については、エネルギー・環境プラント事業、モーターサイクル&エンジン事業などが減収となる一方で、航空宇宙システム事業などが増収となったことにより、全体では前年同期比で増収となった。

 営業利益はエネルギー・環境プラント事業の増益やモーターサイクル&エンジン事業での改善はあったものの、精密機械・ロボット事業の減益や車両事業での悪化などにより、全体で減益となった。経常損益及び親会社株主に帰属する四半期純損益は、為替差損の増加などにより損失となった。

■セグメント別業績

川崎重工2020年3月期第1四半期データ 

<航空宇宙システム事業>

 航空宇宙システム事業を取り巻く経営環境は、防衛省向けについては、厳しい防衛予算の中で一定程度の需要が存在している。民間航空機については旅客数の増加に伴って機体・エンジンともに需要が増加している。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、民間航空機向け分担製造品や民間航空エンジン分担製造品が減少したことにより、前年同期に比べ93億円減少の697億円となった。

 連結売上高は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品、民間航空エンジン分担製造品が増加したことにより、前年同期に比べ172億円増収の1,221億円となった。

 営業利益は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品の売上増加があったものの、民間航空エンジン分担製造品の新規プログラム開発費償却負担増加などにより、前年同期並みの48億円となった。

<エネルギー・環境プラント事業>

 エネルギー・環境プラント事業を取り巻く経営環境は、海外では資源開発や天然ガス関連投資が回復基調にあることに加え、アジアではエネルギーインフラ整備需要が継続している。また環境・省エネルギー投資意欲の向上などにより、分散型電源の需要が増加している。国内ではごみ焼却プラントや産業機械において老朽化設備等の更新需要が継続している。一方で分散型電源は、潜在的需要は大きいものの、電力自由化を睨んで投資計画が若干遅れ気味になっている。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、国内向けごみ処理施設の大規模改修工事などの受注があったものの、国内向けコンバインドサイクル発電プラントや国内向けLNGタンクなどの大型案件を受注した前年同期に比べ、240億円減少の698億円となった。

 連結売上高は、エネルギー事業や国内向けごみ処理施設の工事量減少などにより、前年同期に比べ59億円減収の450億円となった。

 営業利益は、減収があったものの、エネルギー事業での採算改善などにより、前年同期に比べ5億円増益の8億円となった。

<精密機械・ロボット事業>

 精密機械・ロボット事業を取り巻く経営環境は、建設機械市場向けでは、中国市場における油圧ショベル用の油圧機器需要は引き続き堅調に推移している。しかしながら建機メーカーのなかには在庫調整に向かい始めたメーカーも見られるなど、中国市場の状況については引き続き注視している。

 ロボット市場向けでは、米中貿易摩擦の影響による中国市場での設備投資延期や半導体メーカーの投資先送りにより足元の市況は悪化しており、海外市場は今後暫くの間は不安定な状況が続くと予想されるが、国内市場においては、人共存分野など産業分野全般において需要は着実に拡大していくと見ている。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、各種ロボットが減少したことにより、前年同期に比べ41億円減少の529億円となった。

 連結売上高は、半導体向けロボットが減少したものの、建設機械市場向け油圧機器が増加したことにより、前年同期並みの483億円となった。

 営業利益は、ロボットの売上減や油圧機器の資材費、研究開発費の増加などにより、前年同期に比べ28億円減益の17億円となった。

<船舶海洋事業>

 船舶海洋事業を取り巻く経営環境は、環境規制強化に伴うガス燃料推進船需要の顕在化ならびにLNG開発プロジェクトの具体化が進む一方で、海運マーケットの長期低迷、韓国政府による造船業支援政策の継続などにより、依然として厳しい状況にある。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、LPG運搬船を受注したことなどにより、前年同期に比べ146億円増加の215億円となった。

 連結売上高は、LNG運搬船及びLPG運搬船の工事量減少があったものの、修繕船の売上増加により、前年同期に比べ8億円増収の228億円となった。

 営業損益は、新造船の減収および操業差損の発生などにより、前年同期に比べ17億円悪化して3億円の営業損失となった。

<車両事業>

 車両事業を取り巻く経営環境は、国内については老朽化車両の更新需要が安定的に存在している。海外については、米国では注力市場であるニューヨーク地区をはじめ新造・更新需要が見込まれており、またアジアでは日本政府によるインフラ輸出促進に伴って新興国向け案件の形成が計画されている。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、国内向け車両の受注があったものの、北米向け車両・改造工事などを受注した前年同期に比べ、89億円減少の160億円となった。

 連結売上高は、国内向け車両や海外向け部品が減少したことなどにより、前年同期に比べ29億円減収の204億円となった。

 営業損益は、売上の減少及び一部案件におけるコスト変動などにより、前年同期に比べ26億円悪化して35億円の営業損失となった。

<モーターサイクル&エンジン事業>

 モーターサイクル&エンジン事業を取り巻く経営環境は、二輪車では主に欧州において市場の緩やかな成長が持続している一方、一部新興国は市場が軟調である。また、四輪車では主に北米において市場が安定した成長を続けており、汎用エンジン市場も堅調に推移している。

 このような経営環境の中で、連結売上高は、円高や卸売の期ずれにより、前年同期に比べ54億円減収の683億円となった。

 営業損益は、売上の減少はあったものの、前年同期に販管費の一時的な増加があった反動などにより、前年同期に比べ4億円改善して28億円の営業損失となった。

<その他事業>

 連結売上高は、前年同期に比べ29億円増収の235億円となった。

 営業利益は、前年同期に比べ1億円増益の4億円となった。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2020年3月期の連結業績については、前回(4月25日)公表値を据え置いた。

 なお、業績見通しにおける為替レートは、1ドル=110円、1ユーロ=125円を前提としている。

 川崎重工業の2020年3月期第1四半期決算短信

 第1四半期決算説明資料

 

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