三菱重工業とプライメタルズテクノロジーズは7月17日、高周波誘導加熱炉および電磁誘導加熱システム(以下、誘導加熱(注))の世界メーカーである米国のABPインダクションシステムズ(ABP Induction Systems:ABP社、本社:デラウェア州)を、未公開株式投資会社のCM アクイジションズ(CM Acquisitions, LLC、本社:シカゴ)から買収すると発表した。
ABP社は自動車OEMメーカーや同部品メーカー、産業用機器メーカー、独立系鋳造メーカー、鉄鋼プラントメーカー、鉄鋼メーカーなどの優良顧客企業に誘導加熱製品と包括的なサービスを提供している。三菱重工とプライメタルズテクノロジーズは、共同でABP社の株式を取得する形で、関係当局の承認次第となりますが、2019年8月末の買収完了を予定している。買収後は、プライメタルズテクノロジーズとの緊密な連携のもとに事業活動を進めていく。
ABP社は、鉄鋼および非鉄金属の鋳造、製鋼および鍛造のための最新設備を提供しており、主な製品は、誘導加熱システムのほか、誘導溶解炉、保持炉、注入炉となる。ABP社は全世界1,600ヵ所以上に製品を供給している。同社は特にアフターマーケットサービス事業を得意としており、顧客へ製品ライフサイクル全般にわたり包括的なアフターマーケット・ソリューションを提供している。同社は事業拠点をドイツ、米国、中国、インド、メキシコ、ロシア、南アフリカ、スウェーデン、タイの主要工業地帯の近くに戦略的に配置している。
プライメタルズテクノロジーズの取締役会長兼CEOである飯島悟は次のように述べている。
「ABP社の誘導加熱システムは、プライメタルズテクノロジーズの主力製品であるエンドレス圧延生産設備にとって最も重要な機器のひとつで、同製品の競争力に寄与しています。ABP社が三菱重工グループの一員となり、より緊密な関係を構築することで、更に向上した技術を顧客へ提供することが可能となります。また、同社の誘導加熱およびその関連技術と、金属・鉄鋼業界において世界的に展開している当社のエンジニアリング、プラント建設、ライフサイクルサービスやデジタリゼーションとを結びつけることができます。ABP社の豊富な経験とノウハウは、エンドレス圧延生産設備だけでなく、新興市場におけるミニミルや条鋼圧延プラントなど、当社が顧客へ提供している幅広い製品を確実に進歩させてくれます。」
ABP社のティル・シュライター(Till Schreiter)CEOは次のように述べている。
「ABP社の誘導加熱技術と技術を重視する社風は、三菱重工とプライメタルズテクノロジーズの両社にスムーズに受容れられるでしょう。両社とより緊密に連携することは、ABP社にとって更なる成長が期待できます。それはまた、三菱重工とプライメタルズテクノロジーズへの貢献も可能であると期待しています。ABP社は、三菱重工とプライメタルズテクノロジーズが持つ世界的なリソースを利用できるようになることで、更にプレゼンスを高めることができるだけでなく、新しいビジネス分野の開拓や更なるデジタリゼーションの推進も可能となります。これにより、私たちの会社や従業員、顧客に対して長期的な安定・成長を約束できるでしょう。」
なお、ABP社の買収は、米国三菱重工業株式会社(Mitsubishi Heavy Industries America, Inc.、本社:米国テキサス州ヒューストン)とプライメタルズテクノロジーズUSA(Primetals Technologies USA LLC、本社:米国ジョージア州アルファレッタ)による持分取得により行う。
(注)誘導加熱(Induction Heating、IH:高周波誘導加熱、電磁誘導加熱)は、電流と磁力の原理を活用して金属などを非接触で自己発熱させる方式。