第1四半期における経営環境は、米国のオイル・ガス関連など一部の市場で堅調だったものの、半導体市場全般の投資先送りに加え、米中貿易摩擦の影響拡大などによりグロー バルで設備投資に慎重な姿勢がみられるなど、厳しい状況となった。このような市場環境において、安川電機グループの業績は中国・アジアを中心に売上高が前年同期比 で減少し、営業利益は好調だった前年同期と比較し減少した。
■地域別の経営環境
米 国:堅調な経済成長が持続する中、半導体市場・自動車市場関連の需要が伸び悩んだ一方、オイル・ガス関連などの需要は底堅く推移した。
欧 州:自動車向けの需要は堅調も、景気悪化の影響を受け全般的な設備投資は低迷した。
中国 :金融緩和などの財政政策により持ち直す動きがみられるものの、米中貿易摩 擦の影響により設備投資が伸び悩んだことから、前年同期に高水準だった生 産設備の高度化・自動化に関する需要は減少した。
中国除くアジア:韓国を中心とした半導体市場の調整を大きく受け、需要は低迷した。
■セグメント業績
<モーションコントロールセグメント>
売上高:479億15百万円(前年同期比22.5%減)、営業損益:60億54百万円(同51.4%減)
モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成。インバータ事業の販売が米国・中国などで堅調に推移したものの、ACサーボモータ・コントローラ事 業では前期半ばからの需要減速の影響が続き、売上がグローバルで減少したことから、セグメント全 体の業績は悪化した。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕 半導体市場全般の投資先送りに加え、米中貿易摩擦の影響拡大などによりグローバルで設備投資に 慎重な姿勢がみられた。この結果、前年同期には高水準だった生産設備の高度化・自動化に関 する需要が減速したことから、売上高・営業利益はともに減少した。
〔インバータ事業〕 米国におけるオイル・ガス関連や中国におけるインフラ関連の需要が底堅く推移したことから、売上高・営業利益はともに堅調に推移した。
<ロボット>
売上高:391億41百万円(前年同期比10.9%減)、営業損益:17億88百万円(同64.3%減)
溶接・塗装ロボットなど自動車関連向けの売上が日本・欧州などで底堅く推移した反面、米州などで 伸び悩んだ。さらに、中国を中心とした一般産業分野での自動化投資は勢いを欠く状況が継続したことから、売上高は前年同期から減少した。営業利益は生産量の低下による操業度の悪化などにより、前年同期から減少した。
<システムエンジニアリング>
売上高:146億39百万円(前年同期比22.6%増)、営業損益:△1億66百万円(同:2億16百万円改善)
システムエンジニアリングセグメントは、環境・社会システム事業と、子会社である安川オートメー ション・ドライブ(株)が扱う産業用オートメーションドライブ事業で構成。セグメント全体の売上高は新規連結の影響もあり伸長した。利益面においては事業再編を通じた 経費削減効果などにより採算性が改善した。
〔環境・社会システム事業〕 環境エネルギー分野においては大型風力発電用電機品の売上が伸び悩んだものの、太陽光発電用パ ワーコンディショナの販売は堅調に推移した。また、社会システム分野では国内における上下 水道用電機システム関連の売上が底堅く推移した。
〔産業用オートメーションドライブ事業〕 鉄鋼プラント関連は国内を中心とした更新需要を的確に捉え、堅調に推移した。
<その他>
売上高:57億47百万円(前年同期比45.6%減)、営業損益:△77百万円(同6億79百万円悪化)
その他セグメントは、情報関連事業や物流サービス事業などで構成。前年同期で発生したEV関連の量産立ち上げによる一時的な需要がなくなった影響により、前年同期に 対し売上高は減少し、営業損益は悪化した。
■2020年2月期見通し
なお、2020年2月期(2019年3月1日~2020年2月28日=2019年度)の連結業績は、売上高4,650億円(前期比2.0%減)、営業利益465億円(同6.6%減)、経常利益480億円(同5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益350億円(同15.0%減)との見通しを据え置いている。