・詰まりにくい構造や省エネ性能で、中国市場や各種産業排水汚泥などに幅広く対応
・高含水率汚泥を乾燥により大幅減容化、処分費用を低減し都市ごみとの混焼で燃料化利用へ
三菱重工業は6月20日、グループの三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC、横浜市西区)が開発した「高粘度汚泥対応汚泥乾燥機」が、一般社団法人 日本産業機械工業会(産機工)主催の「第45回優秀環境装置表彰」において「日本産業機械工業会会長賞」を受賞したと発表した。中国などの高粘度下水汚泥や各種産業排水汚泥に幅広く適合した詰まりにくい乾燥ディスク構造や省エネ(低燃費)性能など独自の工夫が評価されたもの。6月18日に東京都内で表彰式が開催された。
受賞対象となった高粘度汚泥対応汚泥乾燥機は、MHIECがラインアップ展開している間接加熱式汚泥乾燥機「三菱スマートドライヤー(MITSUBISHI Smart Dryer)MSDシリーズ」。そのうち、一日の処理能力が約90トンの大型機である「MSD-200」の初号機が、2017年に中国・広東省に納入された。現在、さらに大型の「MSD-240」を含め5機が同国内で稼働している。
中国では、これまで粘度が高いために脱水後の高含水率汚泥のまま埋め立て処分するしかなかった汚泥を、乾燥により約25%まで減容できるようになったことで埋め立て処分費用を大幅に低減できるほか、ごみ焼却炉で都市ごみと混焼し燃料としても利用できることを実証した。乾燥熱源は隣接するごみ焼却炉の余剰蒸気を利用することで重油等の化石燃料を必要としないため燃料費を大幅に引き下げることが可能。さらに、詰まりにくく摩耗が少ない独自の2軸/4軸ディスク方式の採用により、保守費用の低減を実現した。
中国では現在、汚水処理場の普及に伴い汚泥の発生量が増加しています。特に、埋め立て余力が少ない沿海部の大都市を中心に、汚泥を乾燥させて減容した後に焼却処理するニーズが増大。汚泥乾燥機や汚泥焼却炉の先進技術を有する日本の環境装置企業への期待が高まっていたもので、MHIECはこれに応えた。高粘度下水汚泥以外にも、化学製品や食品、バイオマスの絞りかすなど幅広い排水汚泥の乾燥・減容化への展開が期待される。
MHIECは、長年の実績に基づく汚泥処理分野の技術開発力と豊富な建設・運営ノウハウを活かした総合的ソリューション力を強みとしている。今回の受賞を励みとして、中国・東南アジア市場においても、すでに多数実績のある廃棄物焼却炉設備に加えて今後は汚泥処理の高度化でも、自治体や廃棄物処理事業会社などに対して支援する一方、産業界の環境対策における省エネ・温暖化抑制などに貢献していく。