kikai-news.net

三菱日立パワーシステムズ(MHPS)、3万kW級の可搬型航空転用ガスタービン発電設備を受注

・PWPSがプエルトリコの発送電力網復興に向け「FT8® MOBILEPAC®」を3台

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は6月14日、グループの米国PWパワーシステムズ(PW Power Systems LLC:PWPS)が、米国の自治的編入地域であるプエルトリコ自治連邦区から、航空転用型パッケージタイプの3万kW級ガスタービン発電設備「FT8® MOBILEPAC®」を3台受注したと発表した。現地の精密機械販売大手でEPC(設計・調達・建設)パートナーを務めるARG社(ARG Precision Corporation)を通じて、プエルトリコ電力庁(Puerto Rico Electric Power Authority)に納入。2017年の暴風雨(ハリケーン)被害により現在も続く停電など電力不足問題の緩和に向けた移動型補助電源として、同地域の早期復興に貢献していく。

 今回受注したFT8® MOBILEPAC®は移動可能なコンパクトユニットモデルで、短時間での起動および迅速な輸送・設置が可能。ガスと油の両方を燃料として使えるため、プエルトリコ本島および周辺の島々でも、使い勝手が簡便。PWPSでは、3台のユニットを納入した後も、技術者を派遣して運用を支援する。ARG社ではユニットの移動・設置を管理するとともに、同地域電力庁が所管する既存発電所とのインターフェースを円滑に構築。各ユニットは、自然災害による停電や、既存の発電所・送電線網の復旧作業に伴う送電停止期間などに応じて、電力供給されない地域の不便を近くまで移動して給電することで緩和する。

 ハリケーン“マリア”によりプエルトリコの発送電網が大きく破壊されてから18ヵ月後の2019年3月、クレブラ島(Isla Culebra)が本島と海底ケーブルで再接続され、同地域の系統電力網自体は完全復活した。しかし、いまだ断続的に停電が各地で発生。特に都市部では、電力需要が多いことに加え、再生可能エネルギー由来の電力比率も高いことから、不安定な電力需給をカバーする移動式の分散型補助電源が求められており、FT8®ユニットはこうした期待を担って納入されるもの。

 ARG社のアマンド・ロドリゲス(Armando Rodriguez)社長は「大規模な都市部の電力復興には、産業用ガスタービンが有効であり、とりわけ信頼性の高いブラックスタート(注)機能を備えたMOBILEPAC®ユニットはもしもの時の系統安定セーフティーネットとして理想的なソリューションと言えるでしょう」と述べている。

 一方、PWPSのCEOであるラウル・ペレーダ(Raul Pereda)は、次のように述べている。「当社は2007年以来プエルトリコで活動しており、今回エネルギー安全保障と環境の持続可能性を追求する同地域をFT8® MOBILEPAC®で支援できることを嬉しく思います。」

 PWPSは、本社を米国コネチカット州グラストンベリー(Glastonbury)に置き、米国の航空機エンジンメーカーであるプラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney:P&W)が供給するエンジンを転用したガスタービンのエンジニアリング・組み立て・販売・サービス、EPCなどを手掛けるMHPSのグループ会社。2013年にP&W傘下から三菱重工業の完全子会社となり、今年からMHPSの米国法人傘下に移管された。世界の50ヵ国・地域以上に2,000台を超える発電用・機械駆動用ガスタービンを供給した実績を有しており、高効率のハイエンド機を得意とするMHPSのガスタービン事業に、分散型電源としても優れたPWPSの航空転用ガスタービンが加わることで、MHPSグループのガスタービン事業は幅広いニーズに応える製品群をラインアップするに至っている。

 MHPSは今後も、PWPSと緊密に連携し、定置用ガスタービンと航空転用ガスタービンの双方を手掛ける強みを活かしながら、環境の変化や再生エネルギーの増大にも柔軟に対応するソリューションプロバイダーとして、エネルギーの有効利用と環境負荷の低減に貢献するグローバル展開をさらに加速していく。

(注)広範囲な停電が発生した場合でも、電力系統などの外部電源に頼ることなく起動できること。

 ニュースリリース

 

モバイルバージョンを終了