日本フルードパワー工業会は2019年5月、2019 年・年度の需要動向調査結果をまとめた。それによると、油圧機器の2019 年出荷額は 4,021 億円(前年比1.5%増)、2019年度は3,946 億円(前年度比1.4%減)、空気圧機器の2019年出荷額は4,594 億円(前年比5.5%減)、2019年度出荷額は4,652 億円(前年度比2.5%減)と予測した。
(約2,000字+図表5点)
このような景況の中、2019 年・年度は、10 月に消費税率の引上げが予定されているが、軽減税率制度やポイント還元など消費税率引上げに対応した新たな対策等によって、我が国経済は雇用・所得環境の改善が続きと見られている。しかし、世界経済に先行き不安感を出していた英国のEU 離脱問題は先送りされ、米中貿易戦争の今後決着も見えない中、中国経済の停滞やIT業界の減速、そしてイラク原油禁輸措置による原油価格上昇懸念など不安材料も多々あることも事実であるとしている。
■総括
1.1 経済環境
2018年度の内外の経済環境は、世界景気の同時拡大、半導体市場のスーパーサイクルなどを背景として、我が国経済は景気拡大を続けてきたが、昨年後半から中国経済の鈍化、半導体等IT需要の低迷などで減速感が出てきた。実際、日銀短観(3 月調査)において、大企業・製造業の業況判断DIがマイナス7 ポイントと低下した。これは輸出・生産データだけではなく企業マインドも悪化してきており、足元の日本経済が力強さに欠けることを示している。一方で非製造業の業況判断DIの悪化は小幅であり引き続き高水準を維持しているほか、企業新年度の収益計画・設備投資計画も底堅いことから、年後半から持ち直すと期待される。
しかし、景気の持ち直しには、昨年来からの米中貿易摩擦がより深刻化しないこと、中国の景気対策による中国経済の早期の底入れ、世界の半導体市場の回復などが鍵となっており、一段と見通しが難しい状況となってきている。
こうした経済環境の中で、3 月末に同工業会総需要委員会及び油圧分科会並びに空気圧分科会を開催し、今回「2019 年・年度の需要見通し」を作成・公表するものである。
1.2 油圧機器出荷額
2019 年・年度の市場動向を見ると、市場の約4割を占める建設機械部門は、2018 年・年度に比較して伸び率は低下するものの、依然として成長が見込まれる。また、3割強を占める輸出部門も、米国、中国市場向けが引き続き好調さを保っており、しばらくこの傾向は続くとみられる。
このため2019 年は前年比1.5%増の4,021 億円、2019 年度は前年度比1.4%減の3,946 億円と予測した。
暦年ベース出荷額
2018 年 出荷額(実績) 3,963 億円(対前年比15.0%増)
2019 年 出荷額(予測) 4,021 億円(対前年比1.5%増)
年度ベース出荷額
2018 年度 出荷額(見込) 4,003 億円(対前年度比11.0%増)
2019 年度 出荷額(予測) 3,946 億円(対前年度比1.4%減)
油圧機器2019年・年度需要見通し (上表は暦年、下表は年度)
1.3 空気圧機器出荷額
2019 年・年度の市場動向を見ると、半導体製造装置向け需要が昨年秋口から減少するなど、一般機械向けを含め減速感が出て来ている。約5割を占める輸出については、これまで活発であった中国の自動化及び省力化投資等に頭打ち感が出て来ており、マイナス成長の懸念が出て来ている。
このため2019 年は前年比5.5%減の4,594 億円、2019 年度は前年度比2.5%減の4,652 億円と予測した。
暦年ベース出荷額
2018 年 出荷額(実績) 4,862 億円(対前年比2.7%増)
2019 年 出荷額(予測) 4,594 億円(対前年比5.5%減)
年度ベース出荷額
2018 年度 出荷額(見込) 4,773 億円(対前年度比2.1%減)
2019 年度 出荷額(予測) 4,652 億円(対前年度比2.5%減)
空気圧機器2019年・年度需要見通し (上表は暦年、下表は年度)