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三菱重工工作機械、最新の金属3D積層造形技術を米国見本市で披露

・世界初のモニタリングフィードバック機能とシールド機能を積極アピール

◆ チタンやニッケル基合金など多様な素材の高速・高精度造形を実現、大型部品にも対応

◆ デトロイトで5月開催の見本市「RAPID+TCT 2019」で初めて新技術を紹介

 三菱重工グループの三菱重工工作機械(本社:滋賀県栗東市)は5月16日、独自のデポジション方式(注1)を採用した”金属3D(三次元)プリンター”の提案を海外市場に向けて開始すると発表した。世界で急成長している3Dプリンター市場を牽引する米国で認知度を高め参入の足掛かりをつかむことが狙い。第一歩として、5月20日~23日にデトロイト(ミシガン州)で開催される先端立体造形技術の見本市「RAPID+TCT 2019」で、金属3Dプリンターの実用化に必要な新技術、モニタリングフィードバック機能およびローカルシールド機能を披露する。なお、これら2つの機能は、世界で初めて実用化された技術。

 この金属3Dプリンターは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業開発機構(NEDO)から技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)が受託した技術開発事業(注2)の成果を、三菱重工工作機械が活用し開発した。2019年3月には小型部品の試作造形に特化したエントリーモデル「LAMDA200」を市場投入した。独自のデポジション方式は、ノズルからパウダーを連続的に噴射し、レーザーを照射して溶融・凝固させる技術。金属粉末をタンク(ベッド)に敷き詰めて造形する方式(パウダーべッド方式)に比べ10倍以上造形速度が速く、金属粉末のタンクを使用しないため、パウダーベッド方式では不可能な大型造形もできる。さらに、連続的に材料を供給するため、途中で材料を切り替えるなどの工夫により複数の異なる材料からなる複層材料部品の造形も可能であり、将来は組成が異なる材質のものを接合した傾斜機能材料の開発への適用も期待されている。今回、これら技術に加え、モニタリングフィードバック機能とローカルシールド機能の実用化に目途がたち、造形品質の安定性が向上、大型部品の造形が可能となった。

 具体的には、カメラやセンサーを用いて造形状態を監視するシステムがモニタリング機能。さらにフィードバック機能がモニタリング結果に基づいてレーザー出力など造形条件をリアルタイムに制御し、金属の溶融凝固を安定化させる。従来は製品形状が変わるごとにトライアルアンドエラーによって最適な造形条件を決めてきました。モニタリングフィードバック機能により自動で造形条件を最適化、トライアルアンドエラーが不要となる。また、造形中に周囲環境の酸素を排除し溶融した金属の酸化を防ぐ機能がシールド機能。ローカルシールド機能はチャンバーを使用せずに、チタンやアルミニウムといった酸化を嫌う材料の大気環境における造形を可能とする。この機能を利用すると造形物の大きさに制限が無くなるため、航空宇宙産業などで課題となっている大型部品の造形に適用できる。RAPID+TCT 2019において、これらモニタリングフィードバック機能とローカルシールド機能の開発成果を紹介する。

 多様な素材からなる高機能な製品需要は、軽量化に対応し続ける航空機産業や、最先端技術を求め続ける自動車産業において世界的に高まるものと見込まれている。三菱重工工作機械は、金属3Dプリンター実用化の課題を解決し、今後は高機能材料の造形プロセスの提案により金属3Dプリンターの認知度向上と需要開拓に力を注ぎ、在来の切削・研削加工技術では限界のあるものづくり領域を金属積層造形という新アプローチで押し広げていく。

(注1)指向性エネルギー堆積法(Directed Energy Deposition:DED)と言われ、熱エネルギーの集中を利用して材料を溶融する積層造形プロセス。

(注2)本製品は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の成果を活用している。

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