プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies、以下PT社)は5月17日、U.S.スチール社(United States Steel Corporation)のペンシルベニア州ブラドックにある生産拠点、エドガー・トムソン工場向けに、Arvedi ESP(エンドレスストリップ生産)ラインを受注したと発表した。これは米国で建造される初のESPラインとなる。この鋳造・圧延一貫プラントは、高品質な極薄鋼板を年間250万トン(276万ショートトン)生産する能力を有し、最大板幅は1,956ミリメートル(77インチ)と、これまでで最も幅広の鋼板を生産するESPラインとなる。
このArvedi ESPラインは、板厚0.8ミリメートル(0.031インチ)~6ミリメートル(0.236インチ)、板幅965ミリメートル(38インチ)~1956ミリメートル(77インチ)の鋼板を生産できるように設計されている。PT社は、Arvedi ESPプラントのエンジニアリングを担当するとともに、機械設備、機器制御システム、技術パッケージ、およびオートメーションシステムを供給する。完全に統合されたベーシック(レベル1)およびプロセス(レベル2)のオートメーションでライン全体がコントロールされ、すべての鋳造・圧延運転が制御される。そのほか、レベル3オートメーション、変圧器および変電設備、ならびにコイルの搬送用にモジュール式シャトルカーも供給範囲に含まれる。
今回の投資により、エドガー・トムソン工場のある同社のモンバレー製鉄所は、自動車業界における燃費基準の適合に有用な業界トップクラスのXG3(TM)先進高張力鋼(AHSS)の主要生産基地となる予定。同プロジェクトは、AHSS鋼の継続的な生産を可能にするだけでなく、モンバレー製鉄所における環境性能の改善、省エネ化、およびCO2排出量の削減にも貢献する。最初のコイル生産は、許認可と建設の状況にもよりますが、2022年を予定している。
1901年創業のU.S.スチール社は、米国と中央ヨーロッパに大規模な生産拠点を持つ総合製鉄会社。本社はペンシルベニア州ピッツバーグにあり、自動車、家電機器、コンテナ、産業機械、建設、石油・ガスなどの業界に向けた高付加価値の鋼板や鋼管を幅広く製造している。
ピッツバーグの南東約10マイルに位置するペンシルベニア州ブラドックのエドガー・トムソン工場は同社モンバレー製鉄所の一部で、同製鉄所の他の3つの工場と合わせ、年間290万トンの粗鋼生産能力を有している。高炉2基、BOF転炉2機、真空脱ガス設備、レードル精錬設備、ならびに2ストランド式スラブ連続鋳造機を稼働させており、生産されたスラブはモンバレー製鉄所の別の工場でさらに処理される。