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KYB、2019年3月期売上は4.7%増の4,122億円、純損失は247億57百万円

・セグメント別は建設機械向け油圧機器が大幅増

 KYBが5月14日に発表した2019年3月期(2018年度)連結業績によると、売上高は前期比4.7%増(185億円増)の4,122億円となり、過去最高となった。増収となった主な要因は、中国における建設機械向け製品の需要が増加したことによる。損益面については、営業損失は284億96百万円、税引前損失は295億10百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失は、247億57百万円となった。

 2018年度における世界経済は、米中貿易摩擦の激化、欧米の政治的な混乱等により、先行きが不透明な状況であるものの、総じて堅調に推移した。また、国内経済は引き続き堅調な企業収益や雇用情勢により、緩やかながら拡大基調で推移している。このような環境のもと、KYB製品の主要な需要先である自動車市場は、欧州で好調に推移した。また、建設機械市場は、中国では安定した成長が続き、欧米も堅調に推移した。

 なお、2018年度は免震・制振用オイルダンパーの不適切行為等について、KYBでは「関係者の皆様には多大なるご心配とご迷惑をお掛けし、深くお詫び申し上げます。今後、このような事態を再び繰り返すことがないよう、安全と品質を最優先に、企業風土の改革と再発防止策を着実に遂行し、信頼回復に取り組んでまいります」としている。

 KYB2019年3月期データ

■セグメント別の業績

①AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント

 同セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成。

ⅰ) 四輪車用油圧緩衝器

 四輪車用油圧緩衝器は、欧州市場が堅調に推移したこと、第2四半期にブラジルの持分法適用会社を連結子会社としたこと等により、売上高は1,697億円と前年度に比べ4.0%の増収となった。

ⅱ) 二輪車用油圧緩衝器

 二輪車用油圧緩衝器は、中・大型二輪車用油圧緩衝器等の減少により、売上高は291億円と前年度に比べ3.2%の減収となった。

ⅲ) 四輪車用油圧機器

 パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、電動パワーステアリングや油圧ポンプ及びCVT(無段変速機)用ベーンポンプが減少したことにより、売上高は421億円と前年度に比べ8.0%の減収となった。

ⅳ) その他製品

 ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は50億円となった。

 以上の結果、同セグメントの売上高は2,458億円となり、営業利益は43億85百万円(営業利益率1.8%)となった。

②HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント

 同セグメントは、産業用油圧機器、その他製品から構成。

ⅰ) 産業用油圧機器

 建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、中・大型ショベルが中国市場を中心に安定した成長を続け、小型及びミニショベルが欧米市場で堅調に推移したため、売上高は1,323億円と前年度に比べ15.8%の大幅な増収となった。

ⅱ) その他製品

 鉄道用セミアクティブシステム及び緩衝器を主とするその他製品の売上高は83億円と前年度に比べ2.4%の減収となった。

 以上の結果、同セグメントの売上高は1,406億円となり、営業利益は183億11百万円(営業利益率13.0%)となった。

③システム製品

 同セグメントは、舞台機構、艦艇機器、免制震装置等から構成。

 KYB及び子会社であるカヤバシステムマシナリーで製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準に適合していない、または、顧客の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実が判明し、当該事象に係る見積費用を計上した結果、「その他」に含まれていたシステム製品事業について、質的な重要性が増したため、2018年度より、「システム製品」を「その他」から区分し、開示している。

 システム製品は、売上高は85億円と前年度に比べ0.2%の増収となったが、免震・制振用オイルダンパーの不適切行為により、営業損失は429億85百万円となった。

④航空機器事業

 同セグメントは、航空機器用離着陸装置、同操舵装置等から構成。

 KYBは、防衛装備品に関わる防衛省との契約に関し、不適切な工数計上により請求していた事実の判明を受け、当該事象に係る見積費用を計上した結果、「その他」に含まれていた航空機器事業について、質的な重要性が増したため、2018年度より、「航空機器事業」を「その他」から区分し、開示している。

 航空機器事業は、売上高は56億円と前年度に比べ11.5%の減収となり、防衛装備品関連損失引当金の計上等により、営業損失は93億22百万円となった。

⑤特装車両事業、電子機器等

 当セグメントは、特装車両及び電子機器等から構成。

ⅰ) 特装車両

 コンクリートミキサ車を主とする特装車両の売上高は91億円と前年度に比べ4.5%の減収となった。

ⅱ) 電子機器等

 電子機器等の売上高は25億円と前年度に比べ11.1%の減収となった。

 以上の結果、同セグメントの売上高は116億円となり、営業利益は9億5百万円(営業利益率7.8%)となった。

■2020年3月期(2019年度)の見通し

 世界経済は、総じて緩やかに成長すると見込まれるものの、米国の通商政策への懸念や利上げに伴う新興国経済の変調等のリスクから、不透明な状況が続くと予想される。

 KYBグループを取り巻く環境については、四輪車用油圧緩衝器を中心としたAC事業は、四輪車用油圧機器において販売減が見込まれること、及び、為替前提を円高に設定したこと等により、減収及び減益を予想している。

 また、建設機械用油圧機器を中心としたHC事業は、中国市場を中心に好調な需要環境が継続する見込みであることから次期の業績はほぼ2018年度並みを見込んでいる。

 また、営業利益以下の各段階損益については、偶発負債に関する注記「建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について」及び「独占禁止法関連」に記載のとおり、今後の進捗により、次期の連結業績に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 2020年3月期(2019年度)連結業績予想は、売上高4,100億円(前期比0.5%減)、セグメント利益206億円、営業利益194億円、親会社の所有者に帰属する当期利益140億円としている。

 業績予想における為替レートについては、1USドル105円、1ユーロ122円を前提としている。

 KYBの2019年3月期決算短信

 決算説明資料

 

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