*カッコ内は前期比
2018年度における国内経済は、個人消費や設備投資は底堅く推移するなど、緩やかな回復基調が続いた。一方、海外は、中国経済はやや減速感が見られ、米国も好調だった景気状態に陰りが見え隠れしている。米中貿易摩擦の激化や英国のEU離脱問題等が世界経済に与える影響もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況となっている。
加藤製作所グループの事業環境は、国内は排出ガス規制による反動減により需要は減少し、海外需要は中国・東南アジア向けを中心に増加したが、欧米や中東向けが減少した。
■セグメント別の状況
<日 本>
国内向けの油圧ショベル等は、後半はレンタル業者の需要が戻ってきたが、前半の排出ガス規制実施前の駆け込み需要の反動減が大きく、需要は減少した。海外向け油圧ショベル等は、油圧ショベル、ミニショベルとクローラキャリアの需要が堅調に推移したことで増加した。
その他の国内需要は減少し海外需要は増加した。その結果、日本の売上高は755億6千8百万円(97.5%)となり、セグメント利益は20億6千8百万円(前年同期はセグメント利益2億4百万円)となった。
<中 国>
中国経済がやや減速しインフラ投資が鈍化したことで需要の減少を予想していたが、春節明けの需要が前年より増加した。中国の売上高は140億5千1百万円(107.2%)となり、セグメント利益は23億9千6百万円(116.1%)となった。
<その他>
海外子会社KATO WORKS (THAILAND) CO.,LTD.で製造・販売しているトラッククレーンは、中国企業の台頭で中近東や東南アジアの需要を取り込めず売上高は7億3千万円(284.6%)となり、固定費を賄えずセグメント損失3億1百万円(前年同期はセグメント損失4億4千8百万円)となった。
■主要品目別売上高の状況
<建設用クレーン>
海外の建設用クレーンは、インドネシアやタイ、シンガポールの需要は増加したが、欧米や中東向けの需要は減少した。海外建設用クレーンの売上高は75億8千7百万円(107.3%)となった。
<油圧ショベル等>
油圧ショベル等の売上高は321億3千9百万円(97.9%)となった。国内の需要は、後半はレンタル業者の需要が戻ってきたが、前半の排出ガス規制実施前の駆け込み需要の反動減が響き大幅に減少し国内油圧ショベル等の売上高は125億9百万円(85.2%)となった。
海外の需要は、中国はインフラ投資の鈍化が見られるものの、春節明けの需要は前年より増加し、また米国向けのクローラキャリアの需要が堅調に推移したことで増加した。海外油圧ショベル等の売上高は196億3千万円(108.3%)となった。
<その他>
その他の売上高は14億4千1百万円(86.5%)となった。その他の製品で路面清掃車や万能吸引車の需要が減少し、国内売上高は14億円(前年同期比85.2%)となった。海外売上高は4千1百万円(179.1%)となった。
■今後の見通し
今後の見通しについては、米中の貿易摩擦や英国のEU離脱問題等の不安材料が世界経済に影響を与え、日本経済もその影響を受けて景気が後退するとの見方もあり、依然として不透明な状況となっている。
このような状況下、日本の建設機械の需要は、大都市圏での建設投資が好調に推移しており、オペレータ不足は続くが、消費税増税前の駆け込み需要も期待され増加すると予想している。
海外の建設機械の需要は、地域により異なるが中国はインフラ投資が鈍化するものの需要は横ばいと予想し、その他の需要は増加と予想している。
坂東工場を新設し、部品供給体制の整備を行うとともに、賃貸契約期間の満了による横浜工場の返還に当たり群馬工場を改修・増設し、生産体制の効率化を図る。工場再編によりコストダウン及び収益性の向上を計画しているが、次期においては設備増強による減価償却費の増加と工場移転費用の発生を見込んでいる。また、利益率の低い小型クレーンの販売増を見込んでいるため売上総利益率が低下する見通し。
2020年3月期連結業績予想は、売上高870億円(前期比1.9%増)、営業利益26億円(41.7%減)、経常利益27億円(43.7%減)、親会社株主に帰属する当期利益15億円(50.6%減)としている。