*以下、カッコ内は特に断わりがない限り前期比。
国内は、堅調な設備投資需要を背景に全事業・全部門で前期を上回り、加えて期中に買収によりグループ傘下に収めたオリイメック(現株式会社アマダオリイ)等の新規連結も貢献し、売上収益は1,489億92百万円(前期比11.5%増)となった。海外は、売上収益1,891億82百万円(12.5%増)とすべての地域で増収となった。中でも北米においては、板金部門の販売が引き続き好調であったことや、切削部門でのアマダマーベル社の新規連結等が貢献した。
2018年度におけるわが国経済は、引き続き緩やかな拡大基調にあり、企業の業績見通しの底堅さや労働供給の逼迫感などを背景に、合理化・省力化投資をはじめとした設備投資は堅調に推移した。米国では、通商政策を巡る不透明感はあるものの設備投資を主として経済は順調に拡大し、欧州でも一部主要国の政情不安や外需見通しの不透明感から後半にかけて景気減速が見られたものの、経済は底堅く拡大した。中国では、通商問題や企業の資金繰り悪化の影響をうけて経済成長が鈍化に向かい、製造業を中心に設備投資の手控え感が広がった。また、中国経済の減速の影響をうけてアジアの周辺国でも景気の減速感が見受けられた。一方、インドなどその他の新興国では依然堅調な経済成長が続いている。
■事業別の概況
<金属加工機械事業>
金属加工機械事業においては、受注高は2,723億80百万円(1.6%増)、売上収益は2,728億78百万円(9.2%増)といずれも前期に比べ増加した。板金部門においては、高成長が続くファイバーレーザマシンの販売が伸長し、国内において新商品の高出力マシンを中心に拡大した。また海外においても、省人化・省力化ニーズの高い欧米を中心にファイバーレーザマシンの販売が拡大した。また、マシンと組み合わせることで生産工程の自動化を可能にする周辺装置やベンディング自動化商品の販売も国内外で拡大したことで、売上収益は2,432億41百万円(8.6%増)となった。
微細溶接部門においては、高い市場成長が続く電池業界向けにファイバーレーザ溶接機の販売が好調に推移し、高い市場占有率を誇る抵抗溶接機も自動車電装品関連向けに堅調に拡大したことで、売上収益は296億30百万円(13.8%増)となった。
以上により、金属加工機械事業の営業利益は、356億91百万円(11.6%増)となった。
<金属工作機械事業>
金属工作機械事業においては、受注高は617億85百万円(10.1%増)、売上収益は642億78百万円(27.6%増)といずれも前期に比べ増加した。
切削部門では、国内外でマシン販売が好調で、国内では旺盛な建設需要を背景に鉄構加工用途のマシン販売が伸長した。また、北米では第2四半期連結会計期間に子会社化した米国の老舗切削機械メーカーであるアマダマーベル社の業績も増収に寄与した。第3四半期連結会計期間よりアマダマーベル社製マシン専用鋸刃(ブレード)の供給も開始するなど、さらなる拡販とシナジー効果の創出を目指している。
プレス部門では、2018年11月より新規連結した株式会社アマダオリイの業績寄与に加えて、プレス機を複数台接続するタンデム運用提案が奏功し、自動車部品関連向けの販売が拡大した。
研削盤部門では、主力のプロファイル研削盤の販売が国内及び中国において好調、成形研削盤が欧州やASEANで好調であったことにより売上は堅調に推移した。
以上により、金属工作機械事業の営業利益は92億77百万円(28.6%増)となった。
■地域別の状況
<日 本>
板金部門では、好調な建築需要からサッシや鉄骨、建設・建築金属向けの販売が好調に推移した。また、微細溶接部門においても新エネルギー車用モーター、電装品等の自動車関連向けを中心に販売が拡大したことで、売上収益は1,489億92百万円(11.5%増)となった。
<北 米>
米国では、期初に代理店を買収した東部での販売が好調に推移した。幅広い業種において販売が拡大したが、特に電化製品向けや医療機器向けの販売が好調でした。カナダにおいても幅広い業種で好調であり、中でも農機具や輸送機器向けの販売が好調であったことに加え、建築関連向けの販売が拡大したことで、売上収益は675億35百万円(18.7%増)となった。
<欧 州>
欧州では、ブレグジットをめぐる政情不安の影響でイギリスでは設備投資の低迷が目立つものの、他の主要国においては、イタリアでは農機具や工作機械などの一般機械向けの販売が、フランスでは農機具や鉄道事業向け、ドイツでは建設機械や空調設備などの建築関連向けの販売が各々堅調に推移し、売上収益は630億73百万円(7.5%増)となった。
<アジア他>
中国や韓国では、微細溶接部門において車載電池などの自動車関連向けの販売が増加した。またインドでは、板金部門において鉄道や建築などの社会インフラ関連向けの販売が好調に推移し、売上収益は585億73百万円(11.5%増)となった。
■2020年3月期(2019年度)の見通し
今後の世界経済は、長引く米中問題や中国の景気減速に加え、イギリスのEU離脱問題が引き続き成長の懸念材料となっている。このような経済環境の中、アマダホールディングスグループでは東部を中心とした米国における販売・供給体制の強化、インドネシアや中東等の新興国への成長投資を推進するとともに、引き続き成長ビジネスであるファイバーレーザ商品や省力化ニーズに対応した自動化・ロボット商品の拡販による売上高の拡大を見込んでいる。利益面では円高による影響は見込まれるものの、差別化された新商品の市場投入による販売価格の改善や製造合理化によるコストダウンに継続して取り組むことで利益の最大化を目指す。
2020年3月期の連結業績については、売上収益は3,500億円(3.5%増)、営業利益470億円(3.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益335億円(0.2%増)を見込んでいる。
業績見通しにおける主要な為替レートは、1米ドル=108円、1ユーロ=120円を前提としている。
決算説明資料(予定)