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北川鉄工所、2019年3月期売上は7.7%増の603億円、今期予想は4.4%増の630億円

 ㈱北川鉄工所が5月10日に発表した2019年3月期(2018年度)連結業績によると、売上高は、603億39百万円(前期比7.7%増)、営業利益は54億63百万円(同21.8%増)、経常利益は、59億32百万円(同15.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、38億54百万円(同10.4%増)となった。

■経営成績の概況

 2018年度における国内経済は、企業収益が堅調に推移したことを背景に設備投資の増加や雇用環境の改善が行われ、緩やかな回復基調で推移した。一方海外も、米中間の貿易摩擦や英国のEU離脱問題、中国経済の景気減速等の影響により依然として先行きは不透明感が感じられるものの、世界経済全体としては概ね堅調に推移した。

 北川鉄工所グループでは、昨年4月より社内カンパニー制による事業運営を開始した。各カンパニーへ権限を委譲して、経営人材の育成や商品開発、生産性の改善等を積極的に行い、各事業の更なる成長を促進することによって、収益の確保に取り組んできた。

 北川鉄工所2018年度データ

■セグメントの業績

<キタガワマテリアルテクノロジーカンパニー(金属素形材事業)>

 同事業の売上高は292億2百万円(前期比9.4%増)、セグメント利益(営業利益)は15億90百万円(同62.4%増)となった。

 自動車関連業界においては、昨年の世界新車販売台数は、前年比0.5%減の9,479万台となり、2009年以降で初めて通年販売台数が前年割れとなったが、高水準で推移した。また、建設・農機関連業界については、欧米では堅調な需要を背景にして、建設機械・トラクタ・エンジン部品の生産は揃って増加したが、アジアではタイの農業機械やインドのトラクタの需要が増加したものの、中国における農業機械の需要が大幅に減退したため、アジア地域では前年を下回った。

 このような状況のもと、同事業においては、既存顧客の海外展開への対応を含めた顧客の部品需要に対する北川鉄工所シェアの拡大と北川鉄工所の強みである素材と加工の一貫生産を活かした高付加価値製品の新規受注活動に注力してきた。また、収益性を改善させるために、原材料価格上昇分の販売価格への転嫁、不良の低減・歩留り改善等による生産効率の改善、調達コストの削減等を継続してきた。

 生産体制については、国内では昨年8月より福山工場へ新設した加工棟を本格的に稼働させ、新規受注したトランスミッション部品の量産を開始し、同年12月より更なる増産要請に対応するために2次加工ラインを立ち上げた。海外ではメキシコ子会社において鋳造2次ラインの量産を開始した。これによって、日本・タイ・メキシコのグローバル拠点間の生産負荷調整と設備の有効活用が可能となり、拠点間の相互補完供給体制を確立した。これらの取組みによって、自動車トランスミッション部品を中心とした自動車関連事業及び建設・農機関連事業ともに年間を通して概ね好調を維持した。

<キタガワサンテックカンパニー(産業機械事業)>

 同事業の売上高は183億8百万円(前期比8.3%増)、セグメント利益(営業利益)は21億65百万円(同10.1%増)となった。

 国内の建設業界においては、国土交通省の統計調査によると、2018年度は前年度と同水準で推移しているなかで、鉄筋工(土木)をはじめ多くの職種で建設技術者が不足しており、労務費の高騰や工期遅れが続いた。このような状況のもと、同事業においては、業務効率や生産効率の改善施策やカンパニー制に移行したことによる事業運営が効果的に機能したことにより、収益の改善に取り組んだ。

 コンクリートプラント及び関連設備事業では、前年度の受注残物件の減少により工事件数が前年比で減少したが、改造工事やメンテナンスサービスが堅調に推移した。荷役機械関連設備事業では、都市部の再開発向け大型クレーンと集合住宅向け小型クレーンが年間を通して堅調に推移した。環境関連機器事業では、廃棄物の分野を中心に堅調に推移した。自走式立体駐車場事業は、商業施設や遊興施設等の大型物件の納入が集中したことによって、前年度の売上を大幅に上回った。

<キタガワグローバルハンドカンパニー(工作機器事業)>

  同事業の売上高は128億12百万円(前期比2.9%増)、セグメント利益(営業利益)は26億27百万円(同6.4%増)となった。

 工作機械業界においては、一般社団法人日本工作機械工業会の統計では、2018年度の工作機械受注総額は1兆6,891億円(前期比5.1%減)となった。内需は補助金等の政策効果の影響もあり7,033億円(前期比2.2 %増)、外需は自動車産業向けは堅調に推移したものの中国市場のEMS(電子機器製造受託サービス)の終息による影響によって9,857億円(前期比9.8%減)となった。

 このような状況のもと、同事業においては、受注増加や納期短縮に対応するために生産人員の確保や主要部品の調達の増強に努めてきた。また、昨年11月に開催されたJIMTOF2018や本年1月に開催された第3回ロボデックスロボット開発・活用展へ次世代標準チャックBRシリーズや二ツ爪の薄型グリッパ(ロボットハンド)等多くの新商品を出展し、新商品開発へ積極的に取り組んできた。これらの取組みによって、国内の業績については、工作機械メーカー向け、一般ユーザー向けとも堅調に推移した。海外の業績については、中国市場は軟調に推移したものの欧米市場の落ち込みがなかったため、概ね堅調に推移した。

■2020年3月期見通し

 今後の経済情勢は、国内の経済状況は、依然として企業の設備投資に対する意欲は高く、とりわけ労働力不足を背景にした省力化や合理化を実現するための投資を中心に底堅く推移するため、設備投資の大幅な落ち込みはないものと考えている。しかし、海外では、米中間の貿易摩擦や米国の政策動向、英国のEU離脱問題等の地政学的リスクが継続し、依然として先行きの不透明な状況が続くと思われる。

 このような状況のもと、昨年4月より導入した社内カンパニー制による経営を強化し、更なる各カンパニーの成長、経営人材の育成、商品開発等顧客価値創造力の向上を目指す。また、各生産拠点の生産性の向上や品質改善に取組み、計画利益の確保に努めていく。

 次期(2020年3月期)の業績予想については、売上高は63,000百万円(前期比4.4%増)、営業利益50億円(同8.5%減)、経常利益は5,500百万円(同7.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,900万円(同1.2%増)を見込んでいる。

■次期の事業セグメントごとの主な戦略は次のとおり

<キタガワマテリアルテクノロジーカンパニー(金属素形材事業)>

 2019年の世界新車販売台数は、中国が前年の落ち込みから回復する前提で前年並みの水準を維持するものと予測される。さらに、建設機械、農業機械は増加が見込まれ、特にエンジンと小型建機関連が増産となる見通しとなっている。

 このような状況のもと、同事業においては、国内外の生産拠点の生産能力相互補完や品質の向上を図り、コア領域である自動車トランスミッション部品を中心とした、高付加価値製品の受注に努め、競争力を強化するとともに、収益力も強化していく。また、海外拠点であるメキシコ子会社の受注品目拡大やタイ子会社の収益確保の体制作りに努めていく。

 以上により、売上高は308億円を見込んでいる。

<キタガワサンテックカンパニー(産業機械事業)>

 2019年度の国内の建設業界は、公共工事は、インフラ改修工事については一定の発注が維持される見通しであり、民間工事は、好調な企業業績を背景にした設備投資や都心再開発物件等により需要が見込まれるため、全体としては高水準で推移するものと見込まれている。

 このような状況のもと、同事業においては、コンクリートプラント及び関連設備事業では、生産者の投資意欲が高いため、既存設備の改造工事やメンテナンスサービスに加え、建替え工事の販売強化に努めていく。荷役機械関連設備事業では、主力のクレーン事業に加え、トラベラークレーンや吊荷旋回装置の販売強化及びクレーン技術を用いた新分野への挑戦と海外展開を模索していく。環境関連機器事業では、装置の機能向上とバイオマス関連商品の強化に努めていく。自走式立体駐車場事業では、消費税増税前の駆け込み需要による反動が懸念されるが、前年度に受注した物件の工事が集中するため、工事の進捗管理を徹底して収益の確保に努めていく。

 以上により、売上高は203億円を見込んでいる。

<キタガワグローバルハンドカンパニー(工作機器事業)>

 2019年の工作機器業界は、米国と中国の貿易摩擦、中国経済の減速による緊縮策等の外部的要因に加え、工作機械受注の減少が見込まれていることによって、軟調に推移していくものと予測している。特に外需においては、EMS(電子機器受託生産サービス)向けの受注が終息したため、受注が減少するものと予測している。なお内需においては自動車関連の需要が当面の間は安定的に推移するものと予測している。

 このような状況のもと、同事業においては、市場の要求に的確な対応ができるように、生産体制の再構築を行い、顧客満足度の向上を目指していく。またシェア拡大に向け、次世代標準チャックBRシリーズを本格的に市場投入する。さらにロボット周辺機器市場へ参入し商品開発を更に加速させ、新たに主力となる新商品の開発に傾注していく。

 以上により、売上高は113億円を見込んでいる。

 北川鉄工所の2019年3月期決算短信

 

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