損益については、一部の大型製品における販売時期の調整、部材価格高騰に伴う原価率の悪化および部材の調達遅れの継続、生産拠点移動に伴う初期的な効率悪化を受けて、営業利益は、38億3千4百万円(同17.4%減)、経常利益は、前年度にあった受取解約金による営業外収益の反動を受けて、55億7千3百万円(同20.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、40億7千9百万円(同18.7%減)となった。
東芝機械グループが属する機械業界についても、国内の設備投資は緩やかながら回復傾向を示しているものの、海外は対象とする市場や製品により景況感に差異が生じている。
■セグメント別の概況
<成形機事業>(射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機など)
射出成形機の販売は、北米、東南アジアおよびインドの自動車向けを中心に堅調に推移したが、国内および中国向けは軟調に推移した。受注は、年度前半は、国内、中国およびインドの自動車向けを中心に堅調に推移したものの、国内や東南アジアの設備投資に慎重な姿勢が出始めている。
ダイカストマシンは、販売は、国内、北米および東南アジアの自動車関連業界向けや、中国のEV関連向けが堅調に推移した。受注は、国内、北米、東南アジアおよびインドの自動車関連業界向けが堅調に推移した。
押出成形機の販売は、中国の二次電池向けシート・フィルム製造装置の販売時期調整の継続を受けて大きく減少した。受注は、国内および中国の光学向けシート・フィルム製造装置の需要はあったものの、中国の二次電池向けシート・フィルム製造装置の需要調整が継続し、大きく減少した。
この結果、成形機事業全体の受注高は、918億6千5百万円(前年度比0.5%減)、売上高は、792億1千 万円(同1.3%減)、営業利益は、35億1千万円(同24.7%減)となった。
<工作機械事業>(大型機、門形機、横中ぐり盤、立旋盤、精密加工機など)
工作機械の販売は、国内、中国、東南アジアの産業機械向けや国内の航空機向け等を中心に増加したが、部材の調達遅れによる売上高への影響は継続した。受注は、国内、北米の産業機械向けや国内の建設機械向けおよび北米の航空機向け等を中心に堅調に推移した。
精密加工機は、国内、中国を中心としたレンズ・自動車用の光学金型向けおよび韓国の半導体製造装置向けに、販売と受注が堅調に推移した。
この結果、工作機械事業全体の受注高は、313億1千2百万円(前年度比29.5%増)、売上高は、273億 6千5百万円(同15.4%増)、営業損失は、1億2千9百万円(同:営業損失11億3千万 円)となった。
<その他の事業>(産業用ロボット、電子制御装置など)
産業用ロボットの販売は、国内の自動車等の自動化関連設備を中心に堅調に推移した。受注は、東アジアを中心とした電子デバイス・スマートフォン等の組立自動化設備向けの調整局面の継続を受け、軟調に推移した。
この結果、その他の事業全体の受注高は、113億2千2百万円(前年度比2.9%減)、売上高は、139億4千 6百万円(同11.9%減)、営業利益は、特殊大型機の売上減少により、4億3千6百万円(同56.6%減)となった。
■2020年3月期の見通し
今後の経済環境は、緩やかな回復基調で推移することが期待されるものの、海外の通商政策の動向、中国経済の減速継続、世界的な地政学リスク、新興国経済の見通し、為替変動等先行き不透明な状況が継続することが予想される。また、国内外企業との競争激化等厳しい事業環境が想定される。このような状況のもと、東芝機械グループは、国内外工場における生産のさらなる効率化、調達難の解消も含めた最適調達の一層の強化等のグループ全体での総原価低減諸施策の実施、地域・顧客等新市場の開拓、市場・顧客ニーズにあった新商品の開発・販売等によりグローバル市場でのブランド力を高め、さらなる収益の拡大に努めていく。
加えて、2019年4月1日よりスタートした、新中期経営計画「Revolution E10 Plan」の基本指針である「機械 メーカーの総合力を最大限活かして成長し続けること」に基づいた諸施策を実施していく。
2020年3月期の見通しについては、売上高1,220億円(前期比3.9%増)、営業利益53億円(同38.2%増)、経常利益63億円(同13.0%増)、親会社株主に帰属 する当期純利益44億円(同7.9%増)を予想している。
なお、通期見通しにあたっての為替レートは、1米ドル105円を前提としている。