・日本企業によるマレーシアへの輸出をプロジェクトファイナンスにより支援
国際協力銀行(JBIC)4月2日、1日にマレーシア法人Pengerang Refining Company Sdn. Bhd. (以下「PRC」)との間で、融資金額900百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1・ベースのバイヤーズ・クレジット(輸出金融)*2の貸付契約を締結したと発表した。融資は、みずほ銀行(幹事行)、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、シティバンク、エヌ・エイ東京支店との協調融資(協調融資総額1,500百万米ドル)であり、民間金融機関の融資部分には日本貿易保険(NEXI)による保険が付保される。同プロジェクトは、他国輸出信用機関も参加する国際協調融資案件。
貸付契約したプロジェクトは、マレーシア国営石油会社Petroliam Nasional Berhad(ペトロナス)及びサウジアラビア国営石油会社Saudi Arabian Oil Company(サウジアラムコ)が間接出資するPRC等が、マレーシアジョホール州南東部Pengerang地区で、石油精製能力日量30万バレルの製油所とエチレン、プロピレン等(合計年産330万トン)の石油化学プラントから成る同国最大の複合コンプレックス(RAPID)を建設・操業するもの。このうち今回の融資は、PRCが東洋エンジニアリングからスチーム・クラッカー・コンプレックス*3を購入するための資金に充てられる。
マレーシアでは石油精製・石油化学分野における多数の設備投資が見込まれているところ、JBICが日本企業の輸出を支援する今回の契約は、同国の石油精製・石油化学分野における日本企業のビジネス機会の創出を通じ、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するもの。
マレーシアは、国家5ヶ年計画である「第11次マレーシア計画」の中で、石油・ガス分野で中核となる重要な国家プロジェクトとして同プロジェクトを位置づけている。また、同プロジェクトは、サウジアラビアの経済改革計画「ビジョン2030」の下、戦略的に非常に重要なプロジェクトに位置付けられるとともに、サウジアラムコのアジアを含む世界的な石油精製・石油化学事業への長期的戦略投資を拡大していくことに資するもの。同プロジェクトは、こうした両国政府の経済・産業政策にも合致するもの。
.JBICは、プロジェクトファイナンスの豊富な経験・知見を活かし、他国の公的機関と共に案件検討の初期から参画し、円滑なファイナンス組成に貢献している。今後も、日本の公的金融機関として、他国輸出信用機関とも連携しつつ、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業のプラント機器等の輸出や海外事業展開を金融面から支援していく。
注釈
*1 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュ・フローに限定し、プロジェクトの現地資産等のみを担保として徴求する融資スキームのこと。
*2 バイヤーズ・クレジットとは、外国の輸入者が日本企業から機械設備等を輸入するための資金を、JBICより外国の輸入者に直接融資する形態のこと。
*3 スチーム・クラッカー・コンプレックスとは、ナフサからエチレン等を生産する設備。