日本貿易保険(NEXI)は4月1日、住友商事、四国電力、GE エナジー・フィナンシャル・サービス及びシャルジャアセットマネジメントが共同で出資するSharjah Hamriyah Independent Power Company PVJSC(以下、事業会社)がアラブ首長国連邦シャルジャ首長国において実施するガス焚き複合火力発電所建設・運営プロジェクトに対する民間金融機関によるプロジェクトファインナンス形態での融資について、融資保険の引受を決定いしたと発表した。
同プロジェクトは、シャルジャ首長国における初のIPP事業であり、また、NEXIとしてAl Layyahガス焚き複合火力発電所建設プロジェクト2に続き2件目となる融資保険の引受。
同プロジェクトはシャルジャ首長国のHamriyah地区において、発電容量1,800MWのガス焚き複合火力発電所を建設・運営するもので、商業運転開始後23.5年間にわたりシャルジャ首長国電力水庁(Sharjah Electricity and Water Authority、以下SEWA)向けに売電を行う。
事業会社への出資のみならずプラントの運営・管理といったプロジェクトの川下に至る本邦企業の一貫した取組は、日本政府が推進するインフラシステム輸出戦略の趣旨に合致するもの。
同プロジェクトにおいては、シャルジャ首長国傘下のSEWAをはじめとする関係機関に係るリスクアセスメントが案件採択の上で重要なポイントであることから、それら機関との直接対話の場も設けながら精査を重ねてきた。2015年5月に安倍総理が発表した「質の高いインフラパートナーシップ」の実現に向けた機能強化の一環として、2016年4月にNEXIはサブソブリンリスクの引受方針の明確化を公表しているが、同プロジェクトはその引受方針にも則り実現した案件としても位置付けられるもの。
また、同プロジェクトは、米国General Electric社(GE)傘下のGE エナジー・フィナンシャル・サービスによる事業会社への出資に加え、GE製の高効率ガスタービン等の機器を採用していることから、日米政府が進める日米経済対話における日米インフラ協力案件として位置づけられている。なお、同プロジェクトは、2018年4月に開催された第二回日米第三国インフラ協力官民ラウンドテーブルにおいて日米インフラ協力案件として公表されているが、このほど、NEXI保険引受並びに融資契約調印という形で結実するもの。
融資は、国際協力銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、農林中央金庫、スタンダードチャータード銀行、ソシエテ・ジェネラル銀行による協調融資であり、NEXIはこのうち民間金融機関の融資(約516百万米ドル)に対し保険を引き受ける。
シャルジャ首長国では今後も経済成長に伴い電力需要が拡大していく見込みであり、発電容量の拡大が急務となっている。同プロジェクトはSEWAがシャルジャ首長国内で保有する発電設備の入れ替えや発電能力拡大、さらには発電効率の改善を通じた低価格な電力の安定供給を可能にするものであり、NEXIが本プロジェクトをファイナンス面から支援することにより、今後の本邦企業の中東地域における事業機会の拡大、環境負荷の低い高効率火力発電事業における国際競争力の維持・向上、ひいては同国の社会や経済の発展に寄与することが期待される。