日本貿易保険(NEXI)は3月29日、シャルジャ首長国電力水庁(Sharjah Electricity and Water Authority、以下SEWA)がアラブ首長国連邦シャルジャ首長国(以下、シャルジャ首長国)のLayyah地区で建設するガス焚き複合火力発電所建設プロジェクトにおいて民間金融機関が行う融資に対して、融資保険の引受を決定したと発表した。同プロジェクトは、シャルジャ首長国においてNEXIとして初となる融資保険の引受。
プロジェクトは、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)とElsewedy Power S.A.E.社のコンソーシアムがEPCコントラクターとして参画し、MHPSがガスタービン2基、蒸気タービン1基、発電機3基、排熱回収ボイラー2缶など主要機器(1,026.3MW相当)を納入するもの。SEWAによる同発電所のプラント設備購入及び建設資金に対し、国際協力銀行、ソシエテ・ジェネラル銀行、アイエヌジー銀行、スタンダードチャータード銀行が融資を行い、NEXIはこのうち民間金融機関の融資(約241百万米ドル)に対し保険を引き受ける。
シャルジャ首長国では今後も経済成長に伴い電力需要が拡大していく見込みであり、国内における発電容量の拡大が急務となっている。ガスタービンをはじめとする高効率のMHPS製機器の納入は、SEWAがシャルジャ首長国内で保有する発電設備の入れ替えや発電能力拡大、発電効率の改善を通じた低価格な電力の安定供給、さらには環境負荷の低減を可能にするもの。
MHPSは世界各国のエネルギー事情に対応できるクリーンかつ高効率な製品の展開に積極的に取り組んでおり、同プロジェクトは日本政府が推進するインフラシステム輸出戦略の趣旨に合致するもの。NEXIが本プロジェクトをファイナンス面から支援することにより、今後の本邦企業の中東地域における電力インフラビジネス拡大や国際競争力の強化にもつながることが期待される。
同ロジェクトにおいては、シャルジャ首長国傘下のSEWAをはじめとする関係機関に係るリスクアセスメントが案件採択の上で重要なポイントであることから、それら機関との直接対話の場も設けながら精査を重ねてきた。2015年5月に安倍総理が発表した「質の高いインフラパートナーシップ」の実現に向けた機能強化の一環として、2016年4月にNEXIはサブソブリンリスクの引受方針の明確化を公表しているが、同プロジェクトはその引受方針にも則り実現した案件としても位置付けられるもの。