風洞とは、人工的に作り出した気流の中に縮尺模型を入れ、模型にかかる空気力などを計測する研究開発設備。航空機の研究開発には、低速飛行時や離着陸時の性能を評価する低速風洞と、高速飛行時の性能を評価する高速風洞が用いられる。既存の低速風洞は、川崎重工が開発した三式戦闘機「飛燕」、BK117ヘリコプター、T-4中等練習機、P-1固定翼哨戒機、C-2輸送機などの全ての機体開発に使用してきた。
また、近年では、空港周辺エリアのより一層の騒音低減が求められている。新低速風洞は、送風機など風洞自体から発生する音を低減したことで縮尺模型から発生する風切音を計測可能。これにより、川崎重工は低騒音機能を持つ大型風洞を所有する国内唯一の航空機メーカーとして、航空機の機体各部やヘリコプターのローターなどから発生する空力騒音の低減にも寄与する。
画像上:新低速風洞全景、画像下:測定部