プライメタルズテクノロジーズ(以下、PT社)は2月12日、ロシアの鉄鋼メーカーであるエブラズ社のニジニ・タギル製鉄所(EVRAZ NTMK)から、同製鉄所の第6 高炉更新に向けたオートメーションシステムと電気設備を受注したと発表した。
数百万ユーロ規模となる今回の受注では、冗長性を持たせた複数の中央サーバーに、バーチャルシミュレーションを用いたオートメーションシステムとして、ベーシックオートメーション(レベル1)およびプロセス最適化システム(レベル2)を装備する。これにより、現在のみならず特に今後のアップグレードにおける整備コストが大幅に低減するほか、新たに導入されるプロセスオートメーションにより、炉の操業パラメータの最適化とコークス消費量の低減も実現できる。
PT社はこれまでに同製鉄所の第7 高炉向けにもオートメーションシステムと電気設備を納入しており、同基は2018 年3 月初めに稼働を開始した。今回更新される第6 高炉の試運転は、2020 年中頃までに実施される予定。
ニジニ・タギル製鉄所は、ロシア中西部に位置するウラル連邦管区スベルドロフスク州ニジニ・タギル市にあり、溶銑490 万トン、鋼材420 万トンの年産能力を誇るロシア最大規模の一貫製鉄所。製鉄および鉱業の拠点のひとつとしてロシアで有数の歴史をもち、主に鉄道用の車輪・レール、構造用鋼、パイプ、半製品を生産している。
今回アップグレードの対象となった第6 高炉は、2018 年初めにその15 年間にわたる稼働を停止した。今後、ストックハウス、熱風炉、ガス浄化・除塵システムなどの二次的プラント設備を含めてこの高炉は全て解体されることになっており、その後完全に再建され、既に稼働を始めている前述の第7 高炉と共に、2020 年からニジニ・タギル製鉄所に溶銑を供給する予定。
PT社が今回の受注を獲得した大きな理由としては、第7 高炉向けに納入したオートメーションシステムと電気設備がエブラズ社から高い評価を得ていたことが挙げられる。同社向けのほかにも、PT社はこの2 年間に、ブラジル、ヨーロッパ、インドの高炉5 基に向けてオートメーションシステムを納入している。
PT社製のオートメーションシステムおよび電気設備が設置されているニジニ・タギル製鉄所の第7 高炉制御室。新たに更新される第6 高炉にも、2020 年中頃までにPT社のオートメーションシステムと電気設備が設置される予定。