受注額は、前年度比11%増の4,970億円となった。ただ、上期の受注は前年同期比23%増と好調に推移したものの、下期の受注は高水準を確保するもほぼ前年並みに留まった。CELOS、テクノロジーサイクル、周辺装置を含む自動化需要が伸長し、受注総額に占める自動化案件の比率は24%(前年度17%)まで向上した。また、5軸機、複合加工機の他、超音波及びアディティブマニュファクチャリングなどの先端技術の受注も伸長した。
2019年12月期の売上収益は、5,000億円(前期比0.2%減)、営業利益360億円(同0.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益190億円(同2.0%増)の見通し。
■2018年の取り組み
2018年は、70周年記念事業の一環として顧客や奈良県・三重県の教育機関等に5軸加工機を貸出してきたほか、10月にデジタルソリューションを活用したモデル工場として、ポーランドFAMOT工場をグランドオープンさせた。さらにクーラントタンク内の微細なスラッジを回収するゼロスラッジクーラントタンクをはじめとする最先端の技術で、自動化やデジタル化の進んだ製造現場における高性能かつ低メンテナンスの機械への要求にお応えしてきた。DMG森精機はあらゆる顧客の生産活動の課題解決を一手に引き受け、激しく変革する社会の中で重要な役割を果たし続ける。
技術面では、大型5軸加工機DMU 200 Gantry及びDMU 340 GantryをJIMTOFで日本初披露し、11月から国内で販売開始した。標準搭載の自社製主軸speedMASTERが高速かつ高精度な加工を実現するだけでなく、ガントリ構造の固定テーブルを採用することにより、重量ワークや偏荷重ワークへの対応も可能となった。
DMUGantryシリーズは、アルミのほかGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の大型加工物も効率よく加工できることから航空宇宙業界や金型業界の顧客に最適である。また、急速なデジタル化への対策として、ヒューマンマシンインターフェイスCELOSにマカフィー㈱の「McAfee Embedded Control」を2019年6月以降の日本国内生産機に標準採用し、システムの停止や情報流出を阻止する情報セキュリティ対策を強化する。
販売面については、11月に東京で開催されたJIMTOF2018や、独国ゼーバッハ工場での自社展示会オープンハウスにおいて、最先端機械とデジタル技術を駆使した製造業の未来を顧客にご紹介した。さらに、11月にフランクフルトで開催されたformnext2018や、同月に東京で開催された国際航空宇宙展2018などの展示会を通じ、LASERTEC 30 SLM 2nd Generationを活用したDMG森精機のアディティブマニュファクチャリング技術の実例を紹介した。
DMG森精機では、「よく遊び、よく学び、よく働く」をモットーに、社員が安心して力を発揮できる健康的な環境の整備を進めている。12月からは、一日の勤務時間を12時間以内とした上で、退勤から次の出勤までを12時間以上あける「12時間インターバル制」を導入した。さらに、老朽化した社員寮を順次刷新しており、社員の住環境の改善を図っている。また、DMG森精機は「DMG MORI SAILING TEAM」を発足させ、日本における外洋ヨットレースの第一人者である海洋冒険家の白石康次郎氏を迎え入れて、単独・無寄港・無補給の世界一周レース「Vendée Globe2020」に挑戦する。長年トップクラスのモータースポーツにおいてテクニカルパートナーを務めてきた経験を活かし、あらゆる自然環境に耐えうる剛性、精度を追求した最先端の船舶の提供を通して、製造業の発展に貢献していく。