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神戸製鋼、約18億円投じて鉄粉工場(高砂製作所内)で生産能力を増強

・生産能力年110千トンへ

 ㈱神戸製鋼所は2月7日、鉄鋼事業部門鉄粉工場(高砂製作所内:兵庫県高砂市)に約18億円を投資し、鉄粉製品の生産能力を増強する事を決定したと発表した。この投資により、生産能力は従来の96千トン/年から110千トン/年へ増加する。(画像は、鉄粉と鉄粉製品の用途一例:自動車向け焼結部品)

 神戸製鋼所の鉄粉製品は、主に自動車用焼結部品としてエンジンやトランスミッションなどの部品の材料に使用される粉末冶金(※1)向けを中心に採用されており、神戸製鋼は、同分野の国内では50%弱のシェアを有している。中でも、黒鉛偏析防止処理(※2)を施した「セグレス(R)」や高強度化に繋がる高い圧縮性や切削性を有した神戸製鋼所独自の高機能鉄粉「セグレス(R)KP、KSシリーズ」は好評を得ているという。

 自動車生産台数は中長期的に伸びが見込まれることから、今後も鉄粉の需要は高まると想定しており、拡大する需要に対応するため、今回の能力増強を決定した。今回の投資では、既存の仕様をベースとしつつ処理温度を現在より高温にすることが可能な還元炉1基に加え、セグレスミキサ1基(※3)を増設する。セグレスミキサの増設により、セグレス(R)の生産能力についても従来の40千トン/年から60千トン/年へ増加する。今回の投資を通し、顧客への更なる安定供給を実現すると同時に高品質、高機能な鉄粉製品を生産可能な設備を導入することで、多様なニーズに対応していく。

 神戸製鋼所の鉄粉事業は、1968年に事業を開始し、高純度で圧縮性に優れた鉄粉の製造を可能にするアトマイズ法(金属溶湯に高圧水を噴霧し粉化させる方法)を日本で初めて導入している。主な製品メニューは、セグレス(R)などの粉末冶金用鉄粉の他に重金属やVOC(揮発性有機化合物)など有害物質の拡散を防止する汚染土壌・地下水浄化用鉄粉(製品名:エコメル(R))や、モータやリアクトル用の部品に使用される磁性鉄粉(製品名:マグメル(R))、他にはカイロ用、脱酸素剤用まで幅広い製品を有している。

<生産能力増強の概要>

投資内容:設備増設(還元炉1基、セグレスミキサ1基)

投資額:約18億円

量産開始時期:2021年度初頭

生産能力(増強後):鉄粉製品110千トン/年、セグレス(上記の内数)60千トン/年

※1 粉末冶金:金属などの粉末を金型に入れて圧縮して固め、高温で焼結し精度の高い部品を製造する技術。粉末を型に入れて成形する為、特に複雑な形状の部品の製造においては、鋼材を削り出す方法と比較し、歩留まりが良いといったメリットがある。

※2 黒鉛偏析防止処理:特性の安定化など焼結部品の強度向上のため鉄粉に黒鉛粉を混合させるが、黒鉛は比重が軽く粒度も小さいため単純に混合しただけでは分離・偏析し易く、部品の組成にバラツキが生じたりする。これを改善するために黒鉛を鉄粉に付着させる処理技術。

※3 還元炉、セグレスミキサ:還元炉は、製造工程における仕上げの熱処理炉。セグレスミキサは、鉄粉と混合する黒鉛粉の偏析防止処理が可能な混合機。

 ニュースリリース

 

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